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「神採りアルケミーマイスター」レビュー

神採りアルケミーマイスター神採りアルケミーマイスター
(2011/04/22)
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のレビューです。賛否のある大帝国と同時期に発売されたせいか、うなぎ上りの評価を受けている本作。その評価に違わぬいい仕事をしてくれました。久しぶりに満足の行く作品でしたね。中古でも値段が少しずつ落ち着いてきているので、見つけたらゲットしましょう!!
 時間はかかりますがオススメですよ。

シナリオ○(◎)
グラフィック★
エッチ○
サウンド・ボイス◎
ゲームシステム☆ 


エウシュリーには、エロゲーアルケミーマイスターを自認してほしい。それはさておき、確かにこれはマイスターシリーズである。紛うことなき。

 飛躍的な進化を遂げるでもなく、激しい爆発力を兼ね備えているわけでもない。これは、少しずつ少しずつ進歩を続けてきた研鑽の徒エウシュリーさんの生んだ努力の結晶。「姫狩りダンジョンマイスター」と「峰深き背にたゆたう唄」という二つの作品を中心に、これまで培ってきたノウハウを活かし、選りすぐりの部分だけを丁寧に“錬金した”類まれなる出会いの作品である。





 大帝国(拙レビュー参照のこと)と比して、アルケミーマイスターはすんなりと胃の腑に落ちた。引っかからずに、ストンとハマった。気がつけば、時計の短針が逆方向にあった。
 三周+αまで、違った楽しみ方がある。パッチを充てて時間をつぎ込んでいる、いないにかかわらず、だ。


 “しっくりこなかった”アリスソフトの「大帝国」と「神採りアルケミーマイスター」の違いは、ブランドが保守に徹したか否かで決まってしまった。エウシュリーは昔から“カテゴリ”という小石を着実に積み上げてくるブランドという認識があって、「空帝戦騎」や「峰深き瀬にたゆたう唄」といった実験的な意味合いの強い作品を、大作の間に挟んでくる地道な印象があった。抜本的な改革とは程遠いが、安定した作品を創り出すブランドと感じていた。今回は、その稲穂が実りに実った、まれに見る豊作だと思う。


 戦闘システムは、「姫狩りダンジョンマイスター」の改良版と言って差し支えない。

・耐性、弱点の細分化
・キャラクターごとのスキル替え
・ヒロイン専用の衣装システムの導入
・クリア条件、それに付随するボーナス要素の追加
・出撃地が選択できるようになった点(前作はダンジョンをひたすら潜るだけでイメージが湧きにくかった)

などが一例である。いずれも微細な変更点で、“陣取り的なSLG”という根幹は揺るがない。あくまでも、システムにスパイスを振りかけただけである。これらの要素が付随しないのが前作で、もともとシンプルな形でも十分遊べていた作品だったのが、今作では十二分に遊べるようになった。
 
 さらに、ここに工房運営という強力なSLGが加わったからたまらない。“やりこみ隊”や“アイテムコンプし隊”は当然ながら激増する。今までのエウシュリーからすると、「峰深き背にたゆたう唄」にあったような「合成、調合、錬金術」といった、やりこめる要素が伸びていなかったのが不思議なくらいだった。一部のプレイヤーは、「ようやく来たか」といった面持ちであろう。
 実際にプレイすると、非常に完成度が高いことが分かった。“峰深”にあった合成失敗みたいな感じのアイテムができることもなく、フラストレーションもほとんど溜まらない。変異物ができあがった時などは、ちょっとしたラッキーな気分になれること請け合い。よく出来ている。


 これに街MAPが追加され、ADVの選択肢的な役割をこなしつつSLGのやりこみ要素との橋渡し役を務めれば、もう鬼に金棒である。ストーリー自体は際立つほどの内容ではないのだが、SLGの面白さとやりこみ要素に引っ張られている。野手陣が盛り立てる投手のような存在だ。
 我々は、いつの間にか(SLGにつられて)“おつかいクエスト”に走らされており、気づけば素材集めやら、サブストーリーやらをこなしている。ここに、一種の“からくり”が存在する。その成立には、面白さの根底にある戦闘システムの優秀さが前提条件であろうが、これについては前述の通りである。

 エウシュリーだからこそ出来る芸当、いやエウシュリーしかなしえない芸当というべきか。この作品は、いくつかの要素を見事に融合させた均整の取れた作品だと思う。些細な不満(決死スキルが強い、武器の持ち替えが面倒、云々)はあれど、非の打ち所は全体的に少ない。シナリオがSLGのおまけという感アリアリなのは相変わらずであるが、これを誹るよりも先にシステムに引き込まれてしまった。門戸の広いSLGであると思う。

 エウシュリーとアリスソフト。地道に積み上げてきたブランドと一度白紙に戻したブランド。その差が、とっつきやすさに現れてしまったのだろうか。


エウシュリーが積み上げ
アリスが壊した時
誰がファンでいられるだろうか


 エウシュリーがやってくれた。「大帝国」でしょげかえっていた自分への活力剤である。鬱憤が晴れた。



【雑記】
 ベスト10に入ります。いい作品です。

 


 ああ~~、やっと書き終わりました。なんとか新作「カミカゼ☆エクスプローラー」までギリギリで間に合いました。明日は仕事が休みなので、開店突撃してゲームを回収してきます。びば、ろりきょにう!!!(黙れ)
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神採りアルケ 以下

ミーマイスターのレビューを執筆中です。本当は今日中に書き終わるつもりだったんですが、
どうせなら変わったセンテンスを選ぼうという邪な考えに至り、現在進行形で書き直しています。

 公開メモ。目下のレビュー予定です。

①カミカゼ☆エクスプローラー(クロシェット)
 いま一番信頼しているメーカーさんです。6/3には書き上げる心づもりでおります。


②ひ み つ
 ぜんっぜん“公開”じゃねーww
まあ、隠すようなことでもないかもしれませんが含みをですね、ゴニョゴニョ。


③Rewrite(key)
 普段、keyのゲームはそれほど躍起になってプレイしません。
そんな私が、このゲームをプレイすることにしました……否、することになりました、が正解か。

これに関しては、追々ブログに経緯を書いておこうと思います。
②のレビューが③の発売前に書ければ、他いくつかレビューしてないものを噛ませます。




 最後に。こんな辺鄙なブログまでご足労いただき、本当にお恥ずかしいやら何やら。
ほんの少しでもエロゲライフのお役に立てれば、管理人としては望外の極みです。

「大帝国」レビュー リテイク

 リテイクしました。パッチ導入後に遊んでみたので、大幅に加筆した次第です。


評価(☆→★→◎→○→△→×)

シナリオ○
グラフィック★
エッチ△
サウンド・ボイス◎
ゲームシステム○ 

やはり違う。これは大シリーズではない。断じて。(2011/05/23 アップデートパッチ導入につきリテイク)

 何度やっても違和感を拭えない。パッチを充てて時間をつぎ込んでいるいるにもかかわらず、だ。


 かつての大シリーズでは、確率の問題で味方がやられたり、敵の捕獲に失敗したりしたために、ロードを余儀なくされていた。だが、今回の「大帝国」ではちょいとロードする事情が違っていた。そもそもの戦闘そのものが上手くいかないという理由で、ロードに頼らざるを得ない局面ばかりに遭遇したのである。
 アリスお得意のセーブアンドロードゲームかと思いきや、ロードする理由が異なるだけで、テンションはだだ下がりである。苦渋のロードを選択したプレイヤーの怨嗟の声が聞こえてきそうだ。それほど、数字に対する拘りが求められるゲームであり、かつての大シリーズとは違うということを、身をもって思い知った。


 敵国の戦力が見えない中で戦闘を繰り返していく仕様なので、とにかく玉砕覚悟で闇雲に攻めてみて、失敗したらロードする必要が出てくる。いきなりの敵国の侵略に対処できない場合、より前のターンにロードする必要も出てくる。このような行程を繰り返していくうちに、雪隠詰めを起こしている事があるのでロードせざるを得ないのだ。戦略フェイズでは今まで以上に数字に対する緻密さが求められ、試行錯誤地獄の様相を呈することだろう。
 これがパッチにより是正され、敵勢力の戦闘力を把握することができる仕様となった。一見、ユーザーの希望に応えたかのような好印象を覚えた。
 しかし、ちょっと待って欲しい。これには、かなりの疑問符がつきはしないだろうか。そもそもリスクというリスクなしに偵察できるのは余りにも話がうますぎるし、仮に偵察情報が間違っていたとしても、なんのことはないロードすればいいだけの話なのである。辻褄あわせと言うと言葉が悪いかもしれないが、結局のところ、偵察機能の搭載はプレイヤーの疑心暗鬼を利用しただけに過ぎず、かえって作業の細分化を招いてしまっているのではないだろうか。私には、そうまでして出したパッチに、大いに意味があるとは思えない。


 また、指揮の値が高ければ高いほど、そのキャラクターは強く感じられてしまうのもナンセンス。能力値の数字も、ストーリーが進んでもほとんど伸びない。過去の「大シリーズ」との数字上での決定的な違いは、有能・無能にかかわらず、キャラクターの成長が目に見えて分かりにくいことにある。大半のキャラクターは、登場時の能力がそのまま後々にまで反映されると言っていいくらいであり、汎用キャラクターは汎用キャラクターなりの活躍を余儀なくされることだろう。提督の能力にさしたる特徴を持たせられないということは、彼らの特性が見えにくいだけではなく、シリーズ前作と較べてユニットを育成する魅力に欠けてしまいがちなのは言うまでもない。その上、艦艇がちびキャラに代わるものとして立てられているため、キャラクター自身に対する愛着も湧きにくい。実質的なキャラクリの少なさも、それに拍車をかける。

 パッチでは、自作の提督を作成できるように工夫されているが、私には、「この物語には核となるキャラクターがいない」という証左のように思えてならない。「大悪司」の山本悪司や「大番長」の斬真狼牙が周囲を巻き込んでいくのに対して、「大帝国」の東郷毅はどちらかというと巻き込まれ型で、流れに身を任せるような生き方をする。色香で自己主張しているようなもので、これは男性プレイヤーにとっては賛否分かれるところであり、「かっこいい」よりも先に嫉妬や焦燥の感情が芽生える人もおろう。賢すぎる生き方をする毅に、やきもきするわけである。
 ここで重要なのは、自作の提督を創り出して満たされるのは自分の満足度であり、「大帝国本体が良くなるわけではない」ということだ。たしかに愛着は湧くだろうし、戦闘も楽しくできるかもしれない。しかしそれは、―もちろんキャラクター製作に熱の入る人もいるだろうが―ユーザー側の不断の努力の結果であると思う。物語にとっては、ユーザーが創り出した提督は、一種の闖入者であることを忘れてはなるまい。


 先にも述べたとおり、戦闘では撤退不可というカミカゼを気取った酷な仕様である。そのため、肝心のSLGは偵察→ロード→セーブという一連のサイクルが繰り返され、単調になりがちだ。周回プレイする気力が無くなるのも頷ける。
 艦船は前作のチビキャラとは違ってなぜか回避行動をとらない(とれない?)ため、戦いも必然的に“攻撃力のぶつかり合い+バリアの応酬”になる。被弾して艦船数が減っても、攻撃力の絶対値に変化が見られないのが不思議な感じがした。
 私見ではあるが、編成バランスも偏りがちになった。登場する艦の中にあって、「77式バリア艦」、「75式防空艦」、「66式ミサイル妨害艦」の運用性、コストパフォーマンスの良さが傑出しており、巨艦の費用対効果の悪さを印象付ける結果となってしまった。縛りプレイには向いてるのかもしれないが、皮肉にもリアルを再現しているかのようである。まさにWWⅡである。

 とにかく撃破に次ぐ撃破で強行軍を繰り返す必要があり、戦術的な魅力は多く損なわれている。敵キャラクターのHPを調整して捕縛することもできず、ダンジョンを探索することもできない。また、少しでも傷ついた艦隊を敵国に移動できないというのは流石に不可解だし、侵略戦に勝利すると一発占領というのも、なんだか突飛に過ぎているきらいがある。こんなに改悪されていては、ファンがなかなかついてこれないのも当然だ。
 前シリーズはターンの限界数こそあれ、そこそこ柔軟性のある戦闘がウリだったと思うのだが、この「大帝国」は「戦国ランス」の仕様に近く、複数の敵勢力と対峙できることや艦隊戦で撤退できないことからも、物凄く硬派な人向けのSLGに思える。ただし、ランスのような面白さは皆無に等しい。


 シナリオは史実をパロっており、この点は好き嫌いが分かれそうだ。歴史的な知識が少しでもあると理解が異なるかもしれないが、さほど気にすることではない。それより何より、エッチシーンの尺の短さには思わず首を傾げてしまった。実用に耐えないのが実にアリスらしく無い。「超昂閃忍ハルカ」で魅せた“濃さ”は微塵も感じられない。キャラクターの多さの弊害であろうか、まこと残念である。


 古参やシリーズのファンの予想とは全く違っていたものの、噛めば噛むほど味の出るゲームになっているとは思う。……思うんだが、それを柔らかく咀嚼するまでが大変だ。どうしても作業性が付きまとうのは否めないし、「大シリーズ」の名を冠しているとは考えたくないほど、戦術面での手厳しさ著しい。そのつもりでプレイすると面食らうのは、火を見るより明らかである。


 私個人がアリスソフトに求めたのは、革新でも真新しさでもない。ただただ、前作の正統的な進化である。否、停滞でも良かったとさえ思っている。平時に革命を起こすと失敗するように、革新というのは時に転覆の危険性を孕んでいるし、それによって失うものも多い。いつ何時も、何かが流れてしまうのを見過ごしてはいけないと思う。
 あれもやりたいこれもやりたいと手をつけるのは悪いことではないが、ユーザー視点になって再考していただきたい。自分たちがプレイしたいゲームと、ユーザーがプレイしたいゲームの意識差か。最近のアリスソフトは、ここらへんに、大きな乖離があるような気がしてならない。

 このゲームは、私が待ち望んだものとは違う捻くれた変化球。決して打てなかった。振ろうとしても暴投に近くて、当てることすら叶わないのである。


 結局のところ、パッチを充ててみても、究極のセーブ&ロードゲームという評価は変わらない。まさに、まさに、これはS・L・Gと言えまいか。



【雑記】
 パッチを充てて、改めてじっくり腰を据えてプレイしてみると、そこまで酷評するような感じはしません。硬派なのは相変わらずです。大帝国は大帝国であって、かつての「大シリーズ」とは異なるものという感がより浮き彫りになりました。
 キャラクリの少なさにしろ、回避能力の喪失にしろ、失ったものは大きいです。アリスは光栄ある孤立を選んだのでしょうか。なんでこうもシリーズプレイヤーに優しくない作品を作ったんでしょうね。




 革新というのは響きのいい言葉ですけど、失敗した時の反動も物凄い。先の「神採りアルケミー」が保守的な作りをしたのに対し、大帝国は果敢にも挑戦の道を選んだと言えましょう。それが悪いとは言いませんが、良好とは言えない結果になってしまったのが残念です。
 もう幾ばくも時間がありませんが、5月の新作前に、アルケミーのレビューを書きたいですね。
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