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「ChuSinGura 46+1 - 忠臣蔵 46+1- 假名手本忠臣蔵編」レビュー

 今回のレビューでは、同人作品の「ChuSinGura 46+1 - 忠臣蔵 46+1- 假名手本忠臣蔵編」を取り上げます。夏コミ(C80)において、第一部とも言うべき本作がリリースされました。まだ完結していない作品ですが、なるべく早いうちにご紹介しておきたかったのです。

 興味ある方は、どうぞプレイなさってみてください。れいんどっぐ様のホームページから、委託販売している小売店のリンクが貼ってあります。

れいんどっぐ様ホームページ



評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ☆ 一級品でした。
グラフィック★
エッチ○
サウンド・ボイス(ボイスレス) ◎ ボイス次第では、エッチやシナリオをもっと高められるかもしれません
ゲームシステム△回想が使いにくい感があります 


2011年度にリリースされた同人作品の中では、疑いなくトップを争える位置にいる作品。忠臣蔵というベースがあるから、オリジナリティがないから、パロディ作品だから、といった色眼鏡の類は捨て置けい!! 続編まで乞うご期待。埋もれてしまうのが非常に惜しい。是非手に取っていただきたい一作。

 萌え時代劇である。お侍さんが女人化した上で語られる仮名手本忠臣蔵と言って誤解はない。
 忠臣蔵と新撰組の二つは、いかにも勧善懲悪を好む日本人が好きそうな題材ではないか。名だたる大河ドラマにおいて、やはりこの2つは頭抜けている。

 しかし、エロゲー界ではどうだ。思えば、これまで新撰組の方は題材としてエロゲーでも使われたことがあった(Liar Soft『行殺☆新選組』、May-Be SOFT『学園☆新選組!~乙女ゴコロと局中法度~』、りぷる『りんかねーしょん☆新撰組っ!』 など)が、忠臣蔵を背骨の部分に用いたエロゲーは、寡聞にして知らない。巷では三国志をはじめ、戦国時代や水滸伝などをベースに敷いた作品は名高い。
 忠臣蔵は相対的に見て不遇だった。ようやくエロゲー化されたか、とひとりごちた。



 忠臣蔵を土台としているだけあって、話の大筋は忠臣蔵に限りなく近い。そこに、れいんどっぐオリジナルとでも言うべき小噺や設定が絡んでくるから面白い。シリアスなシーンになればなるほど、四十七士の胸に宿した想いが燃え滾る。
 ぐいぐい引き込まれる。オリジナリティの有無よりもエンターテインメント性の高さを評したい。

 また、テキストが非常に巧く、会話のテンポがスムーズで飽きさせない。かく言う私は一気にプレイできた。濡れ場は若干テキストが弱くなるが、やはり重要なのは本筋。そこはまったくブレないので安心できる。


 大石内蔵助をはじめ、女人となった忠臣蔵の主要人物の魅力が随所にあふれ出ている。たとえば、ボイスレスにもかかわらず、登場人物はこの上なく活き活きとしている。音なくとも、登場人物の魅力が伝わってくるのは、昨今のゲームの制作環境を思えば、なかなかできることではない…。
 絵のレベルも非常に高く、いつ商業化しても私は驚かない。立ち絵の多さは他の追随を許さない。この作品に声が付けば、まさに鬼に金棒。虎に翼である。

 そして、とくに印象に残ったのがラスト。討ち入りの場面は読み応え抜群で素晴らしかった。ところが、物語の第一部を読み終えた後でも、大河ドラマさながらの音楽で臨場感をさらに高めてくれた。これは評価に値する。おかげで読後の余韻がすこぶる気持ちよかった。



 物語が完結次第、あらためて筆を執ることになるだろう。
今回のレビューは、あくまでもこの作品の紹介に過ぎない。
少しでもプレイヤーが増えることを願って筆を擱きたい。
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「理-コトワリ- ~キミの心の零れた欠片~」レビュー

理-コトワリ- ~キミの心の零れた欠片~理-コトワリ- ~キミの心の零れた欠片~
(2011/09/30)
Windows

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 今回は「理-コトワリ- ~キミの心の零れた欠片~」のレビューです。ぶっちゃけ埋もれちゃってます。

評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ◎ これまでのブランド色を一蹴しましたね。
グラフィック◎ ふさたか式部さん。昔は、C:drive.は克さんというイメージがありました。
エッチ◎ 上々です。
サウンド・ボイス★ ボイスの安定感は随一。
ゲームシステム○ 並。バグとかはないですね。 


『催眠生活』をダーク系エロゲーのアルビノとして見るならば、『理―コトワリ―』はC:drive.のアルビノとして見ることができるかもしれない。とにかく不気味な存在感がある。決して華々しくはないが、C:drive.の新たな側面を見ることができるユニークな作品である。

 かつて私は、『催眠生活 ~校則だから仕方ない!?~』(C:drive.)のレビューにおいて、「カラスの中のアルビノ」と作品を評したことがある。
 かの作品は、従来の催眠モノとは一線を画した、前例のない型破りの催眠モノ。努めてダークな感じを想起させないとあって、数ある催眠モノの中でもひときわ光彩を放つ存在となっていた。実に催眠モノらしからぬ作品だった。
 

 ところが、今作はそれにも増して進境著しい。

 『催眠生活』に催眠モノとしてのアルビノという価値を見出すならば、この『理―コトワリ―』という作品には、C:drive.諸作品のアルビノという箔がつくだろう。それほど異端であり、革新的であり、斬新である。
 ちょっとわき道に逸れてC:drive歴代の諸作品を見てみると、シナリオに力点が置かれていた作品はほぼ皆無と見てよい。その軌跡を辿ってこの作品に行き着くと、もはやC:drive.としては非常に不可解な作品というほかない。

 シナリオという果肉がぎっしり詰まった果実は今までになかった。それほど方向転換著しい作品なのだ。不退転の覚悟すら見受けられる。



◆シナリオ◆
 他のC:drive.諸作品と比較すると、かつてないほど力点が置かれている。ただ、それもC:drive.の中だけの話に留まるため、大海に出ては中の中から上の下といったところか。


 5つあるシナリオの中でも、とくにみなもルートが白眉。
 エロゲーのヒロインには転生シナリオがままあるが、これは感動させるための免罪符と成り果てて早い。ところが、この作品のヒロインの一柱であるみなもは、ヒロインのまま消え果てる。残酷なまでに覆水は盆に返らない。萌えゲーが世に溢れる今だからこそ、このシナリオには見るべきものがあるように思う。途中まではずいぶん愉快なシナリオだと、内心で冷や汗をかいていた。事が急転直下してからが見ものだった。みなもの突拍子のない行動も、唐突な局面も、全てを洗い流すパワーがこのシナリオにある。
 みなもの特殊な立場が活きており、エッチシーンもイメージプレイを意識したつくりとなっている。

 初夏は声優さんの演技に助けられる形で波に乗った印象。コトワリに対するアプローチの方法が最も気に入った。山梔子という理が、物語に適度な‘動’を与えてくれており、読後の余情はなかなか。 ただし、エッチシーンを見ると一人だけ浮いている。【エッチ】の項にて後述する。


 この二本とはうってかわって、悠基とあやめの二本は期待したほどはピリッとしない。あやめルートは根本的に強烈な印象に欠ける。これに対し、悠基は物語のコアという大役を担っていながら、他の個別ルートと幹の太さが同じに思えてならない。説明的になりがちなのが玉に瑕か。
 いずれの物語も決して完成度が低いとは言えないが、みなもシナリオのレヴェルまでは到らない。もう少し作りこむべきだった。

 清見はなんというかご愁傷様。箸休め程度と考えて差し支えない。


 全体的にはそこそこまとまりを見せており、みなも・初夏両シナリオのあっさりとした読後感は一定のセンスを感じさせる。しかしながら、登場人物同士の絡みの少なさ、特定のルート間で見られる若干の設定の齟齬など、細やかな調整を要する箇所は不得手だった様子。オムニバス調という利点を有効に活用して押し切った印象だ。
 その証拠に、物語の導入部分は過去最低レベル。あまりにも唐突がなさ過ぎて、当初は強引ぐまいうぇいっぷりばかりが癪に障ってしまった。

 たしかに、この作品を新たなC:drive.の門出と受け取ることもできよう。しかし、これを一線級と見るのは難がある。素材と着眼点は誉めるべきだが、総括すると手放しでは喜べない。



◆絵◆
 筆の早い(という印象がある)ふさたか式部氏。今作も、実力を如何なく発揮されている。立ち絵に顔芸ならぬ手芸(てげい)があった点には驚いた。
 ところどころ立ち絵が独特だが、これはこれで見るべきものがある。エッチシーンの体位はなかなかアクロバティックな構図が多く、シチュエーション自体もノーマルなものから変態チックなものまで取り揃えてある。視覚的に楽しめるだろう。

 ただし、ヒロインの下着がどのシーンも変わらないのは残念。エロゲーなのだから、ヒロインのぱんつのバリエーションにはさらなる深い熟慮が必要である。ぱんつを足に引っ掛けたままのエッチシーンもかなりあるので、どうしても色の部分で代わり映えしないぱんつがネガティブな方向に目立ってしまう。これはかなり・・・・いや、実にもったいない。
 それはともかく、私が『催眠生活』の第一印象で受けた“中庸的”という印象は相変わらず。白黒を問わず、この方は手広くやっていけるだろう。ロリゲーには向かないかもしれないが。



◆音楽、声◆
 テーマ曲はオープニングと各エンディングをあわせて6曲。目に見えて注力している。 初夏EDの「キズナ」がどことなく民族音楽調でお気に入り。みなもの「一度きりの交換日記」は曲の流れるタイミングがいい。ともに穏やかな気持ちになれるだろう。オープニングの「カケラ」もイントロが一風変わっており、全体的に記憶に残りやすい曲が多い。

 声優陣は実力派を擁しているだけあって、文句のつけどころがない。とくに聞き苦しい点も見当たらない。初夏の演技に労苦のあとが見受けられる。



◆エッチ◆
 回想数24。流石にシナリオを重視した弊害か、絶対数としては『催眠生活』からは半減してしまったが、それでも数量、尺の長さは抜群だ。もともとエロに関しては定評のあるブランドだったので、プレイ前に不安視していた部分はなかった。

 ところが実際にプレイしてみると、一点だけ綻びが出ているように思われる。
 いかにエロに強いブランドとは言え、この物語において、ラリってる感じのするテキストが散見されるのはいただけない。ライターによる相違かどうかは判断しかねるが、凌辱ゲーにありがちな「おほおぉぉぉぉぉ」といったテキストは、このゲームでは場違いも甚だしい。不始末では済まされないと思われる。

 なお、着衣シーンがやや多いのが特徴で、前述のラリ風味のテキストとぱんつの一件を差し引いても、なかなか高次のレヴェルでまとまっている。アナゥーや連発もいくつかあり、尺の長さも程よい。抜き方面はなかなかだった。



◆総評◆
 まず間違いなく、埋もれた作品と化していることは疑いない。C:drive.らしからぬ作風がユーザーに受け容れられなかったせいか、巷の声もかなり寂しい。挑戦的な作品ではあるが、順風が吹いていない現状は気の毒で仕方ない。

 これを萌えゲーと評するのは難しい。みなもルートは実に残酷だからだ。その反面、いちゃラブ成分もふわりと乗っけてあり、どことなくいいとこ取りをした作品ともとれる。
 一見すると、闇鍋のように見えて敬遠しがちだが、あくまでもそれは見せかけに過ぎない。実に玄妙な味わいのする作品に出会った思いだ。なにぶん玄人受けはいいと見る。

「Rewrite」レビュー

Rewrite 初回限定版Rewrite 初回限定版
(2011/06/24)
Windows

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のレビューです。企画が流れてしまったので、単独でアップさせていただきました。自分で言うのもなんですが、相当な駄文ですね。
 カテゴリとしては18禁じゃないんですけど、、、分けるとややこしいので、敢えてこちらに入れときます。

評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ 不定(決められません)
グラフィック◎ 好き嫌い分かれる方ですが・・・。
エッチ なし
サウンド・ボイス☆
ゲームシステム○ 


愛のある二流は、愛のない一流に勝る」ものと聞き及びました。その趣旨になぞらえれば、この作品はたしかに一流です。それだけに、この作品から愛が感じられないのが気になりました。

 非泣きゲーというのは、これまでのKeyの作品を見ても前例がありません。「燃えゲーには不向き」といった表現がしばしば見られるように、実際に、Keyの作風は燃えとの親和性に乏しいように見受けられます。
 それでも、一目置かずにはいられなかったのは、田中ロミオ、竜騎士07、都乃河勇人という三人のクリエイターの存在がありました。ドリームチームと言っても、夢の共演と言っても、三羽烏と言ってもいいでしょう。そこからは、挑戦的なまでの脱皮欲―――すなわち、旧態依然をきらい、新たなKeyを模索するメッセージ性が垣間見えてしまったのです。

 その意気やよし。しかし、それが並大抵のことではないこともまた事実であります。



 結論から言うと、肉体的に完結し、精神的に完結しないゲームでした。達成感よりも疲労感の方が強く残りました。考えさせられるゲームではありましたが、決して面白いとは言えませんでした。個別ルートのぎくしゃくとした感じが、このゲームの読ませる力を萎えさせているんだと思います。

 特筆すべきはルチアルートの孤立感。他のルートとは絶望的なまでの溝がありました。なんでもないゲームや遊戯を面白おかしく白熱化させる事、プレイヤーを必要以上に疑心暗鬼に誘う事に関しては、担当したライターさんは超一流という印象を持っております。激辛パフェの場面などは、まさに「ひぐらしのなく頃に」の部活モードそのもの。日常シーンでは、読んでいて素直にワクテカする展開もありました。
 それでもなお、このシナリオには大きな問題にぶち当たりました。人格という根本的な部分での刷り合わせができていない節が多々見受けられたからです。他のシナリオとはうってかわって喋りまくる静流、稚拙になる主人公の発言と思考、口調の変化など、随所に違和を感じてしまうのです。とくにちはやの性格が悪く見えすぎるのは考え物で、これは、到底読めたものではありません。彼女が悪者に見える原因は、共通ルートからの仲の悪さをもっと生々しく描写してしまった所為でしょう。

 ともかく、田中ロミオという知的ハイテクノロジーの塊に、このライターさんが歩み寄れなかったことは、結果的にルチアシナリオの孤立を招いたように思います。しかし、此花ルチアを早々に退場させた朱音、静流、小鳥という3つのシナリオに対するライターの反駁と見ることもできます。彼は、此花ルチアという扱いの難しいキャラクターを押し付けられたに過ぎないのかもしれません。
 いずれにしろ、ライター間での意識的なズレが窺えます。



 また、ただ読むだけでは「分からない」書き方こそが上質だと考えられているせいか、娯楽性は極めて低いです(いやまあ、判ってはいました)

 たぶん、読んでも「分からない」テキストという解釈には二通りあります。
 まず、「なんだこれは。超常現象ばかりで理解するに値しない」とにべもなく突っぱねてしまう読み方。もう一つは「理解はできないが、なんだかすごく面白いことが書かれている(に違いない)んだろう」と知的探究心でもって熟読に熟読を重ねる読み方。既知を逸した世界講義に触れた時に感じる「温度差」が、大いにこの作品の評価に直結するんじゃないかと思います。
 人は、「不気味なもの」や「不可解なもの」に敏感で、かつ恐れる傾向にありますが、その裏返しは知的探究心の欲求を満たす機会ともなりえるわけです。しかし、私はこの作品の核に踏み込む事をおそれてしまいました。そこには確実に何らかのモチーフが存在したとしても、巷の美少女ゲームよりも安易な内容ではなかったとしても、読ませることには長けてはいない・・・・・・私自身がそう感じてしまったからです。



【愛のある二流は、愛のある一流に勝る】

 moonやTerraは、間違いなく一流どころの仕事をしています。だからこそ、個別ルートが“愛のない一流”に感じられてしまいました。moonの解釈がどうとか、Terraの解釈はかくかくしかじかとか、そういう解釈以前の段階で、読み手である私が躓いてしまったのかもしれません。
 私個人は、乾いた雑巾から水を絞るような、絶望的な徒労感を味わいました。

 家族や奇跡や死といった記号としての感動の一切を排除し、大いなる物語を露出させた点は、旧いKeyからの脱却を示してはいます。しかし、“泣き”という自らの手足を突如として切り取って、どうして立っていることができましょう。その方向性と着地点を定めるのは、並大抵のことではないように思います。
 Keyは自らハンデを背負いました。ここ最近、「泣きゲー」というジャンルというブームは収束し、老いさらばえたような印象があったのは事実です。一筋縄ではいかないとは思いますが、老いた大樹を枯らしてまで芽吹かせた意志はたしかに受け取りました。Keyというブランドの転換点にして、最大の犠牲がここに払われた気がします。再び巨木に育つことを願うとしましょう。



【雑記】
 読み込めば読み込むほど味が出てくる作品です。
噛み続けることで、味に変化が生まれそうですが……。
【!ちゅうもーく!】
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