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「美少女万華鏡 -忘れな草と永遠の少女-」レビュー

美少女万華鏡 -忘れな草と永遠の少女-美少女万華鏡 -忘れな草と永遠の少女-
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のレビューを書きました。短い作品だったので、そう時間をかけずにプレイできました。
 それにしても。9月も中ごろというのにまだまだ暑いですね……。私は南の人間ですが、夏はどこもかしこも冷房がかかってるので夏は大の苦手です。よく冷房にやられてダウンしちゃってます。
 さて閑話休題。海水浴の季節はすぎましたが、まだまだ暑いということで水着エッチありのこの作品。比較的安価なゲームなので、興味をお持ちになった方は是非ショップでお探しくださいませ。

評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ・テキスト◎
耽美さ溢れる文章。知性が秘められている。 
グラフィック☆ 
八宝備仁。この絵が部分的に動く。演出の妙。
エッチ☆ 
濃い。どんどんエロくなるヒロイン。
サウンド○
悪くはない。舞台、雰囲気の形成に一役買っている。
ヴォイス★
御苑生メイさんの独り舞台。すばらしい。
ゲームシステム◎
癖がない平易なコンフィグまわり。それほど長い物語ではないため、細部は査定外。

衒学的な要素の強い連作。費用対効果は誰が見ても業界トップクラス。より高い質を、より手に取りやすくという志向性の強さが窺える。まさにエロゲーブランドの鑑。


◆シナリオ・テキスト◆
 前作ほどではないが、衒学的なシナリオ。オカルティックな雰囲気に支配されており、内容も造詣に富んでおり深い。そのペダンチックが嫌味にならないのはテキストの力によるもの。淫靡さ溢れる官能小説のような耽美な文体が特徴的。知性を伺わせる淀みのないテキストがどことなく自己陶酔感を漂わせる。それだけに主人公の心情を吐露した地の文は、なんとも御しがたいナルシシズムに満ちている。エロシーンのテキストにはハートマークが多用されるため、如実に好き嫌いが出やすい。シナリオ、テキストともに、ロープライスで収まるレベルを優に越えている。力作。



◆グラフィック、演出◆
 八宝備仁氏の滑らかなイラストが部分的ながらアニメになる。それだけでもお釣りが来る。塗りも美麗。CG枚数もフルプライスにひけをとっておらず、コスト面を考えればこの費用対効果は驚異的。一連の作品群を分割と貶める気は微塵も起こらない。



◆キャラクター◆
 物語の性格上、キャラクターで売り込む作品ではない。しかし、正統派ヒロインである雫の造詣やボイスはバッチリ。王道をよく咀嚼したキャラクターだと思う。身体的な特徴は別にして、雫を嫌うユーザーはそう多くはないだろう。



◆エロ◆
 シーン数は16となかなか充実。ハートマークが所狭しと飛び交う過剰なまでの卑語表現が特長。ヒロインが身体を重ねるたびに、卑語表現もエスカレートしていく構成はまさにプロの仕業。多彩な卑語(※)に音を重ねる御苑生メイさんの実力が遺憾なく発揮されている。エロまわりに関しては、ロープライスの作品の中にあって一段と光る、言わば恒星のような印象。このクオリティを創出するのは、並大抵のことではない。



◆サウンド、ヴォイス◆
 低価格とは思えぬ出来。とくに女性陣は当たり役で、作品の雰囲気を壊さない程度のアクメぶりを披露。美麗なCGと併せると、低価格抜きゲー界隈とは思えないエロシーンの耽美さが味わえる。またこの作品には、ちゃんと男の台詞にも声が充てられている。ロープライスになってくるとパートヴォイスはよくある話だが、ωstarはそこも抜かりがない。音楽に関しても不安はないだろう。



◆総評◆
 魔法でも見ているかのような作品。おしなべて上記のカテゴリに死角が少ない。実に均整の取れたロープライス作品と言えるだろう。ロープライスのお手本とするにはハイレベル。他も見習えと奨励するのは易いが、このクオリティを維持するのは極めて難事、難壁。だが、ユーザーが手に取りやすい価格帯であるのは間違いないだけに、ここまでの作品を制作できると実証した功績は大きい。
 実用性を求められる低価格ブランドと争わせても、一時代を築けるほどのしっかりとした内容だが、第一作と第二作の時間的な開きから察するに、マネー的な問題で割に合わないのが悩みの種とみる。いちユーザーとしては、続編に期待が持てる内容だった。




【雑記】(レビュー外)
 業界の性格上、「決戦は金曜日」ですが、この作品は比較的長いスパンで売れ続ける作品のように思います。おそらく本作の発売日の直前、もしくは発売と同時に、第一作の通常版を新品で購入したユーザーもいらっしゃるのではないでしょうか。まあ邪推ですが。



(※)あまりにも卑語が多く、エスカレート具合が際立っていたので、単語を飛び石状に抜き出してみた。丸囲みは回想順の数。①以外は、おまんこやおちんちんといった、筆者がエロゲーでは一般的(?)と判断した卑語は省いた。一応反転しました。


① おちんちん、おまんこ(これ以外は初々しい)


④ ムキムキおちんちん、おちんぽ液、ギンギンおちんちん、おちんちんミルク×2、意地悪おちんちん、おちんちんじりゅ、らんぼうおちんぽ、びんびんおちんぽ、ごりごりおちんちん、敏感おまんこ、おちんぽ精液


⑦ ぬれぬれおまんこ、ぶっといおちんぽ、極太オチンチン、かちかちおちんちん、オチンチン汁、子種汁、ゴリゴリオチンポ、ぐちゅぐちゅおまんこ、勃起おちんぽ、水浸しおまんこ、ぴくぴくおまんこ、感じしゅぎまんこ、じゅぶじゅぶおまんこ、びくびく射精おひんぽ、びんびんおちんぽ、ぎんぎんおちんぽ、勃起おちんちん、ぬるぬるおちんぽさん、ザーメンミルク、オチンチン汁、オチンポ汁、ビクビクおっぱい、おちんぽミルク


⑩ オチンポ中毒、いじわるおちんぽ、子宮まんこ、勃起おちんちん、亀頭ちんぽ、膀胱まんこ、お漏らしまんこ、はじゅかしまんこ、漏れ漏れまんこ、わがままおちんぽ、おちんぽざーめん、おしっこお漏らしまんこ(おしっこ多め)


⑫ おちんぽ汁、あきちゃんミルク、でかちんぽ、勃起肉、ギンギンおちんちん、子宮マンコ×3、敏感マンコ、ガチガチチンポ、ぬるぬるまんこ、ヌルヌルおまんこ、びしょびしょおまんこ、勃起しまくりおちんちん、素敵おちんぽ、敏感おちんぽ、わがままさんぽさん、おねえさんマンコ、びしょ濡れマンコ、ぶるぶるまんこ、ビクビクイキちんぽ、しあわせおまんこ、らぶらぶおまんこ、らぶらぶざーめん、だすきちんぽ、痙攣まんこ、イキまんこ、赤ちゃん汁×2、欲張りマンコ、子種汁


⑯ びしょびしょまんこ、ちんぽ、絶倫おちんちん、逞しいおちんぽ、いつまでもガチガチちんぽ、大しゅきちんぽ、ふとくて力強いちんぽ、ぷりぷりマンコ、コチコチおチンポ、グチュグチュマンコ、どぼとぼ愛液、おひんぽ様、ゴリ太ちんぽ、ガチガチおちんちん、肉道、じゅぶ濡れおまんこ、淫乱ハメまんこ、絶頂ちんぽ、イキまんこ、赤ちゃん汁、濃厚ザーメン汁、オチンチン汁、ドロドロザーメン、赤ちゃんミルク、えろえろマンコ、びちょびちょおまんこ、ゴリゴリちんぽ、ビクビクマンコ、ゴツゴツチンポ、敏感マンコ、感じしゅぎマンコ、キツキツマンコ、でっかいちんぽ、オマンコ肉、ギュウギュウマンコ、締め付けマンコ、ガチガチちんぽ、子宮マンコ×2、プックリ亀頭、まん奥、ザーメンミルク、精液お注射、精液まみれまんこ、らぶらぶざーめんみるく、淫乱まんこ、変態カリ高勃起チンポ、変態淫乱ヌレヌレマンコ、亀頭チンポ、ぷっくりちんぽ、マンコ壁、生ちんぽ、巨根ちんぽ、ズリズリマンコ、勃起しっぱなしちんぽ、濡れっぱなしマンコ、オマンコビラビラ、カリ高デカちんぽ、、射精ちんぽ、ぬぷぬぷまんこ、ちんぽみるく


 一つのシーンでの同一表現は少ない。読者を飽きさせない工夫だろう。エスカレートしていく性表現が少しでも伝われば幸い。
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「リヴォルバーガール☆ハンマーレディ」レビュー

リヴォルバーガール☆ハンマーレディリヴォルバーガール☆ハンマーレディ
(2012/08/31)
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今回は「リヴォルバーガール☆ハンマーレディ」のレビューを書きました。
アマゾンの画像がこのザマです。ヒロイン二人のことを指しているとは言え、タイトルが長いですね。
「りぼ☆はん!!」と短縮するとかわいく………はならないですよね。如何せん内容が…。
ネタバレが少しありますが、例によって隠してます。

評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ△
世界観は☆~★を付けられる。 
グラフィック★
〆鯖コハダ氏。萌えと凌辱の融合。
エッチ★
濃厚なヒギィだが、慣れた人にとっては「コク」が感じられないかも。
サウンド★
注目度低いも、世界観の底上げに一役買っている。
ボイス☆
圧巻。声優陣の喉を心配してしまうほど。 
ゲームシステム◎

世界観に秀でた近未来的マカロニウエスタン。抜きゲーであるにもかかわらず、作りこみの甘さが裏目に出た異色のゲーム。萌える絵柄の燃える凌辱は健在。
◆シナリオ◆
 世界観が著しくよい。荒涼感たっぷりの原野は、かの「TRIGUN」さながら。ウエスタンの雰囲気を味わえるエロゲーは実に貴重だ。だが渋みのある世界観に比して、物語は悔やんでも悔やみきれないほどルーズ。抜きゲーとしての実用性を重視するあまり、シナリオの部分を軽やかにしたのだろうと察するが、今回はそれが裏目に出てしまった。世界観の厚みの割に、シナリオがペラい。エロシーンを薄弱なシナリオの免罪符と考えているうちは、KAIが殻を破るのは難しいだろう。今回も踏み込みが足りなかった。



◆グラフィック、演出◆
 可愛らしい女の子たちに不釣り合いなヒギィ。〆鯖コハダ氏ならではの、アンバランスな萌え凌辱が特長的だ。水と油の関係にある両者の扱いが実に巧み。グラフィックの質は処女作よりも向上しているが、局部がテキストウインドウに隠れてしまったり、テキストよりも表現が控えめのCGがあったりと、やや性的描写に制約を感じる。
 演出は明らかに不十分。西部劇に近しい世界観でありながら、バトルシーンは緊張感に欠ける。抜きゲーで演出を求めるのはシビアかもしれないが、この世界観に手を加えないのはあまりに惜しい。



◆キャラクター◆
 陽気なツンデレガンマンのマリアに未亡人毒舌シスターのキリコという、いそうでいない二人組。イイ感じのコンビ。彼らの服装が製作陣のセンスの良さを窺わせる。とくにキリコの帽子は、まさにウエスタンのイメージ通り。またヒロイン側だけでなく、ヒール側にも一癖も二癖もあるキャラクターが揃っており、声さえつけば磐石といったところ。それだけに、シナリオ・演出・ヴォイスといった各方面での不備、不出来が余計に悔やまれる。



◆エロ◆
 ヒギィ特化の凌辱モノ。純愛要素は欠片も含まれない。絵柄を考えれば、萌え凌辱ジャンルでは向かうところ敵なし。凌辱の描写は部分的にソフトとハードを選べる硬軟自在の「ラプラスビジョン」仕様。どちらを選択するかは、ユーザーの好みによるだろう。エロゲーではおなじみの触手をはじめ、【ネタバレ?】ケツから入ってクチから出るサナダムシやスライムなど、ビギナーにとってはかなりエグいシーンもちらほら。ハードなところでは、【ネタバレ】マリアの四肢を全て骨折させた上でドリルペニスで犯すシーン、JJの足を脱白させてお腹を杭で突き破ろうとする股割きまがいのシーン、マリアとキリコを1本の触手が貫通するシーンの3つはなかなかオツなもの。このゲームでは、彼女たちの絶叫こそが悦楽の糧。ヴォイスの役割はこの上なく大きい。
 実にKAIらしいエロゲーだが、今回はそのブランド色が飽食に直結している。「ヴァルプルギス」にしろ、「ブレイズハート」にしろ、このゲームにしろ、ヒロインのやられ方に関してはさほど次元は変わらない。一作目はまだ新鮮味があった。しかし、これを三作も続けられると食傷を感じずにはいられない。「ヴァルプルギス」ではさほど指摘されなかった点が、今になって浮き彫りになってきたのは、ユーザー側の「満腹指数」が高くなった背景がある。
 その他のエロでは、予約特典パッチで追加される百合風味の濡れ場がお気に入り。〆鯖氏が手がけたゲームの中では極めて新鮮だった。この絵で純粋ないちゃラブを見てみたい気もするが、それはブランド色と相反するのは必至。



◆サウンド・ヴォイス◆
 MUSICの注目度は必ずしも高くはないが、なかなか味のある楽曲ぞろい。「GRAUNGELAND BLUES」や「BOOGIE WOOGIE OKEY DONKEY」は、特にエロゲーで馴染みが薄いメロディー。マカロニウエスタンチックな音楽が世界観に深みを与える。トラック数が15と少ないが、抜きゲーであることを念頭に置けば、このクオリティは誉められて然るべき。それよりも、このゲームで注目すべきはヴォイスだろう。青井美海・佐倉もも花・東かりんといった堅実なクレジットは、もはやKAI三作目にして鉄板の域。極めて凌辱色の強いエロシーンを、きっちりと咀嚼した上で演技なさっていると思う。いずれにせよ、現有のメンバーでヴォイスは完璧……と言いたいところだが、ヤローどものヴォイスレス仕様は疑問。エロシーンはともかく、物語を進める上では実装したほうが賢明。戦闘の間延びが酷く、もはや茶番にしか映らないからだ。



◆総評◆
 世界観が一人歩きした抜きゲーという印象。エロシーンの質が高く、萌え凌辱という他にはない特殊武器を持っているのが強み。しかし、この世界観を小さく見せるのは非経済的。新作が出るごとにエロの新鮮味が薄れていく中で、シナリオを高めるのは決して悪い選択ではないはずだ。食傷気味のユーザーをどうやって繋ぎとめるか。変化を待ちたい。



【雑記】
 ホットパンツにフィットしたマリアのキュートなお尻がそそられます。今回はパッケージ詐欺もやや抑えられた様子。嬉しいような悲しいような…。

「ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1- 百花魁編」レビュー

いま最もアツいサークルブランドはどこか。


れいんどっぐ
http://rain-dog.net/


でしょう。そう声を大にして言いたい。
 「ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1- 百花魁編」のレビューです。文字色を反転させた部分は完全にネタバレです。
評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ☆
好き嫌いが出づらい。芯が通って力強い。
グラフィック★
ぬい氏。豊富な立ち絵。
エッチ△
商業化するにあたっての課題とみる。テキストが抑え目。
サウンド○ 
世界観に埋没するサウンド。ピアノがどことなく印象的。
ゲームシステム◎
コンフィグまわりに問題はない。声がついてから。

勧善懲悪の粋。シナリオの構成力、キャラ立ての巧さは一級品。ボイスレスであるがゆえに、そのポテンシャルの高さを知らしめた快作。今後に期待。
 三部通しての評価。まだ物語は完結していないが、次回以降が商業に移るということで、批評空間では点数をつけさせていただいた。



◆シナリオ◆
 平易で誰もが気軽に読める文章で、加速度的に面白くなってくる。商業と見紛うばかりの読み応え。何をもって同人レベルと商業レベルを分類するかは、とてもデリケートな問題だが、葉山こよーて氏が紡いだ物語は、圧倒的な読みやすさと細密画の如き精緻さでもって、他の同人作品を寄せ付けない。ループものでありつつも、三度にわたって回帰に耐えたそのシナリオ強度はもはや実証済み。懐の深さは抜群。迷いのない鮮やかな仕掛けは、まったくと言っていいほどつけいる隙を与えてくれない。細やかな伏線回収も実に丁寧。


 
◆グラフィック、演出◆
 瞠目すべきは豊富な立ち絵、多彩な差分、その安定感に統一感。近年の同人作品の中ではボリュームが頭抜けており、しかも、原画はぬい氏ただ一人。これは、商業でもそう易々と実現できることではない偉業だ。斬り合いでの立ち絵の動かし方が上手く、躍動感の上積みに一役買っているのも一興。得物に限らず、立ち絵に何かを持たせようと試みる意図も随所に汲み取れる。また、逆さで宙吊りになっている立ち絵(逆立ち絵?)は実に珍しい。卓越したデザインセンスと相俟って、既存のテンプレートに拘泥しない志向性の強さは大きな武器。見せ場の一つ、新八郎との決闘シーンは必見。瞬間の描き方は白眉。



◆キャラクター◆
 同人ゲームとは思えぬキャラクターの数は圧巻の一言。そこに、ユーザーのツボを知り尽くしたライターだからこそできる、計算され尽くした人物像がゲームを豊かに彩る。注目したいのが、キャラ立ての引き出しの多さ、センスの良さ。とりわけ、奥田孫太夫と山吉新八郎の時代感を全く無視したはっちゃけ振りには唖然。しかしその異質さは、不思議と彼女たちの魅力へと変容しており、いつの間にか何事もなかったかのように物語に溶け込んでしまう。字面では説明できない感覚的な巧さは、製作陣の大きなアドバンテージ。キャラクター一人ひとりが活きている。



◆エロ◆
 三部に渡ってプレイしたが、総じて実用的とは言いがたい。抜きというよりも、想いの再確認というシナリオに準じた濡れ場という印象。三文時代劇で良く用いられる、悪代官と町娘の構図とは似ても似つかない。したがって、文章上での性表現もかなり抑え目。高潔な繋がりはシナリオにとってプラスに働くが、当のエロが単体で実用的かというのはまた別問題。初々しさは伝わるものの、それ以上の訴求力はあまり感じられない。
 エロの部分は、商業化にあたって最も懸念されるべき点。読ませることを念頭に置いたゲームなので、エロ成分になかなか比重を置きづらいのは不安材料の一つ。それでもなお、魅力的なキャラクターの多いこのゲームでは、今後、攻略対象となりうるヒロインが増えることが予想される。ヒロインが多すぎるあまり、個々のエッチの濃度を薄めざるを得なかった作品は、これまでにいくつも見てきた。その前轍をいかにして踏み抜かないかが、今後の課題だと思う。



◆サウンド◆
 「仇華 ~ADABANA~」が導入として非常に効果的。オープニングで幕開けを感じ、物語中の音に一喜一憂し、「終わりのはじまり」で余韻を味わう。井原恒平氏のサウンドは世界観に浸透しきっており、全体的に曲調にそつがない。惜しむらくは主題歌以外の音楽観賞の不備だが、さしあたってプレイに不自由することはないだろう。
 ボイスレスだからこそ、改めて声のありがたみが認識できるゲームでもある。三部続けてボイスレスであることが惜しまれるゲームは、後にも先にも存在しない。だがそれゆえに、このゲームのポテンシャルの高さはミロのビーナスの両腕のような、あたかも失われた遺物のような魅力を醸し出している。もっとも声優が声さえ充てれば、厚みが増すゲームという大方の見方は正解だろう。僕自身、このゲームに声が付けばどうなるのかを見てみたいという好奇心には抗えない。



【総評】
 忠臣蔵という極太の幹をできる限り生かし、それに対する製作陣なりの解釈とアレンジとを意欲的に茂らせたシナリオは見事。「もういつ商業化しても私は驚かない」と以前のレビューで申し上げたとおり、このゲームにて商業化が発表された点については、賞賛よりも安堵のほうが大きい。そもそも一作目の時点でそれくらいの実力を保持していたと思うからだ。それよりも、僕が折から好印象を覚えていたのは、枝葉である解釈やアレンジの部分。【ネタバレ】歴史家の間でも評価の定まらぬ多門伝八郎を粋な計らいをする好人物に仕立て上げたり、吉良側の人間を総じて悪役っぽい台詞回しに統一したり、史実では自害した萱野三平重実を吉良側に殺させたりと、勧善懲悪ものとして全くブレがない。また、これは僕の勝手な推察だが、おそらく物語の着眼点は、四十七士の一人に数えられる寺坂吉右衛門信行。四十七士として討ち入りに参加していながら腹を掻っ捌かず、唯一戒名に「刃」の文字を持たぬ男。そこから察するのはやや飛躍しすぎている気もするが、主人公深海直「刃」は彼の代役と見ることもできよう。完結していないため、今後の物語の進展には今なお興味津々といったところ。
 ゲームの源泉となった元禄赤穂事件というドラマ性の高い史実。そこから生み出されたのは、純粋な和とは毛色を異にするお江戸ならぬ「亜」江戸的世界観。その強固な土台の上に、葉山流の忠臣蔵の解釈が加わり、誰も成しえなかった忠臣蔵のエロゲー化に成功した。虎に翼、鬼に金棒。声という得物を得たもののふが、どこまで完成度を高められるか。今後とも目が離せないサークル……否、ブランドだ。



【雑記】
 第一部のレビューにも書きましたが、多くのユーザーにプレイしていただきたい作品です。物語がどこまで広がり、そして畳まれるのか。そこに注目しています。願わくば、吉良側の視点でこの「新約」忠臣蔵を見てみたいもの。個人的なところでは、新八郎の活躍に期待しています。
【!ちゅうもーく!】
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Author:Atora
エロゲレビュアー歴10年目。ゲームは基本的に雑食。まわりの評判と自分の直感でプレイするものを決めるタイプ。クロシェットの大ファン。仕事が多忙につき、更新頻度が大幅に落ちています。
何かご用がありましたら lycaon-theあっとjoker.117.cx  までお願いします。

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