『いつか、届く、あの空に。』の作中に「揶揄と陰口に楚国の唄」という表現がある。言わずもがな四面楚歌の故事のことだ。
項羽本紀によると、垓下の戦いで項羽が追い詰められた折、項羽率いる楚軍は徹底抗戦を覚悟していた。そこで、漢軍の将劉邦は一計を案じ、自軍の将兵に楚国の唄を唄わせるように命じた。闇夜に乗じて流れてくる故郷の唄に、楚兵は悲嘆に暮れ、次々と投降していったというのである。
本作のライターである朱門優氏が突如として在野に下った。そこに疑問はあっても、問答の余地はない。これはどういうことか。言葉遊びが巧みなライターが、四面楚歌によって退社を余儀なくされたのではないことを願いつつ、同時にフリーという視野の広さを最大限に活用してほしいと思わずにはいられない。
…まあなんとも若造が偉そうな事を書いてますが、朱門氏を喩えるなら“エロゲーの畑に撒かれた伝奇小説の苗”といったところでしょう。いわゆる“おかぼ”というヤツですね。敲金撃石な文章(私から見ればの話ですよ?)は、業界でもなかなかいないタイプだと思います。しかし逆に言えば、それがエロゲーという枠によって仇となっている気がするんです。たしか雑誌でもエロが苦手とおっしゃっていたような。勘違いでしたらすみません(汗)。
『いつ空』と『カタハネ』を並行プレイしていることは前にも明記しましたが、週末には片方終わりそうな感じです。最悪でも来週までに片方レビューできればベストかな?……仮免落ちそうなAtoraでした(汗)。