「俺サマのラグナROCK」のレビュー。これもチラシの裏みたいな感じで、文句ばっか言ってます。とにかく注文の多いユーザーですみません。
評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ○
グラフィック○
エッチ△
サウンド・ボイス◎
ゲームシステム△
SLGにTRYしてみました。これはSLGTRYであって、SLGではありません。
このところ、あかべぇさんが意欲的なのはすごく分かるんです。企業化してから、あっという間に多数のブランドを持つメーカーさんになりました。裾野を広げる意味でも、SLGにTRYするのは決して間違っているとは思いません。とは言え、この作品はちょっと荒削りな感が拭えませんね。
内容はファンタジー風の陣取り。アリスソフトの「大悪司」とか「大番長」、プレイ済みの人はアレをライトにした芸風を想像すればいいでしょう。それに北欧神話を持ち込んで、シナリオを書き換えた感じです。しかしその出来は、お世辞にも誉めるには程遠く、逆にお粗末すぎるんじゃないかと言わざるを得ません。
なによりも、システムが酷いんです。やる事と言えば、攻めて、歌って、踊るだけですから。スキルなんておまけです。スタミナがなくなって疲れたのは、プレイヤーではないかと思います。
主な改善点は三つ。
まず第一に、死んでいるSLGをなんとかしてほしい。
もはやSLGじゃないです。タクティカルな面が欠片もありませんから。攻めて行く方向はほぼ惰性で、隣接してない限りあちらさんから攻めてきません。これじゃまるで緊張感が足りません。
それと、キャラクターの強弱バランスが非常に悪いのもよろしくないです。物理的になかなか強くできないキャラがいるので、育成の楽しみがないのは痛い。お気に入りのキャラを、少しずつヒエラルキーの頂点に近づけるのも陣取りの楽しみなんじゃないかなと思うのです。
それがほぼできないとあって、SLG好きな私は、思った以上に楽しめませんでした。一応、できるところまではやってはみたんですけど、複数回プレイしてまでそんなことをするのは無理でした。そもそも、このゲームシステムでそこまでしようとするやる気が湧いてこない。この出来では…。
皆さんも好きなキャラくらいいるでしょう。彼らを育てても報われないとなると、あまりに悲しいじゃないですか。ゲームが面白ければモチベーションもまた違うんですが、どうもSLG好きなプレイヤーには向いてないようです。
第二にルート分岐ほどよく親切に。
何回やっても分岐が分からなかったのは、私が間抜けなせいかと思ってましたが、その後攻略サイトをググって、「こんなの分かんねーよ」と呟いてしまいました。最後のルートを見つけるのに一苦労しました。この場合、木を森の中に隠しても仕方がないでしょう。あまりにも煩雑というべきか難解というべきか、とにかく不必要な難解さだったと思います。
また、コンフィグとも関係しますが、既読と未読の判別ができないのは前代未聞。これは要改善かと。
そして第三に、もっとエロを押し出してほしい。
キャラクターが多いせいか、数も少なく尺も短くCGも少ない。ミドルプライスとは言え、ここには力を入れて欲しかった。あかべぇさんにエロを求めるのは酷な気もするッちゃあするんですけど、ネルトスはじめ、ロキやオーディン、スルトといったキャラクターたちが魅力的なので、もちっとイベント関連も充実させることはできなかったのかと、淡い希望を抱いてしまいました。
有葉さんの良さは相変わらずでした。
対して、シナリオは非常に優秀なんですよ。キャラクターそれぞれに魅力があって、ちゃんとそれを活かしきってる。ベタなんですが、コメディ→シリアス路線をちゃんと貫いてる。いい話で終わって御の字でした。音楽関係も、SLGに比べたら全く文句ないです。
それだけに、いえ、まさにそれだからこそ、キャラ同士の会話の応酬を楽しむこと以上のイベントが欲しかったんですよね。えちぃが早いっつーとアレですが、かなりえちぃだけが強引な感じがします。
あと、SLGに関して。
収支やキャラ配置、イベント云々の説明が作中で全くなされない。これはとくに問題外かと思います。私の無知か、ここの説明を省いたゲームというのはあんまり記憶にないですね。
家電の説明書なんて誰も読まないでしょ、普通。実際に動かしてみた方が早いと思うのが人間ですから。それと同じですが、緊急時はどうしても必要になる。それがマニュアルでは?
んー、なんというか手軽さと手抜きを履き違えてる気がするんですよ。もちろん手を抜いてもいいところは確実に存在するし、それが手軽さを産むのに繋がるというのなら、別段手を抜いても構わないと思うのです。
しかし、今作はその匙加減が素人目から見ても間違っている気がする。厳しいようですが、もっとやりようはあったように思います。
ただ、その匙加減がいかに難しいかというのもまた事実で、私なんぞがレビューで指摘するのは、おこがましいにも程があるのかもしれません。そういう意味では、このレビューはスタッフさんには申し訳ない限りなんですが、いかんせん処女作ですし、私個人としては、今後とも注目したいブランドではありますね。
残念ながら、この作品は1つの作品としては埋もれがちになりそうです。次回に期待します。
スポンサーサイト