「恋と選挙とチョコレート」のレビューです。いまさらな感強し。私は衣更ちゃん派でした。
評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ△ 後述。
グラフィック☆ 美麗。淡白だが、他の絵を見ても「ああ、あの人だ!」と分かるであろう芯の強さ。
エッチ× おかずには使えない。
サウンド・ボイス○ 全体的に聴きやすい。OPと曲のマッチングが心地よい。声優さんもいい。
ゲームシステム△ ちょっとコンフィグまわりが不親切。スキップ機能がスペースキー。
最初の印象は毒なきSelen。透明感のあるキャラクターたちによる、どこにでもある学園ものという先入観がありました。しかし蓋を開けてみれば、あまりにもミスマッチな三角関係。結構なエグみを持たせてあって、攻略するヒロインによっては倦怠感を催すこともしばしば出てきます。ただし、読後に三角関係の後腐れは残らず、幕引きは存外なほどあっさり。ライトノベルを読んでいる感覚に近いものがあります。
多くの指摘どおり、絵は一線級の見栄えのよさ。彩色が素人目にも分かるほど頭抜けていて、見た目の淡さとは裏腹に、強烈な視覚効果を与えてきます。CGにおける安定感のなさを相殺しても、ビジュアル面はまったく申し分のない出来。その水彩調の絵と反比例するが如く、シナリオにはどろどろとした女の嫉妬が随所に垣間見えます。どのヒロインを気に入るにしても、避けては通れない展開が待ち受けており、作品全体の雰囲気は、パッケージのスマートさとはかけ離れたところにあります。
そもそもの不幸は、住吉千里がどう足掻こうとも表向き主人公と昵懇であり、彼女が主人公に依存していたからでしょう。本来ならば、他のキャラクターがそこに介入する余地はありません。かと言って、あっさりと千里と恋仲になる展開も考えにくく、全てがありえない話だと思います。ゆえに、千里ルート以外における彼女の立ち位置は、「いてはいけないお邪魔虫」のように見えてしまうのでしょう。彼女の当て馬のような扱いが、作品全体の雰囲気を剣呑なものへと変貌させています。
画風から見てビギナー向けとは言え、そこはSelen。きっちりと毒を盛っていました。共通ルートで甘さを楽しみ、個別ルートで苦味を味わう事になる苦楽のある作品です。
【雑記】 エッチの時の主人公は、どういうわけかオヤジ臭さを漂わせているような気がします。
とくに衣更ルートでは、一気に老け込んでいますね。
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