のレビューです。管理人は、音楽を聴くのも歌うのも大好きです。巧いとか、巧くないとか抜きにしてね。
評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ△ 落差が激しすぎる。
グラフィック△ 光沢のある絵柄。チープさもあるけど、それが良さげ。
エッチ△ 薄いです。厳しいかな。
サウンド・ボイス☆ 主に主題歌、挿入歌に対して。これは一流。
ゲームシステム○
なんと言えばいいのかよく分からないけれど、この作品は“おファッキン”なのではないかと思う。角ばった印象が失せてしまったから。
登場人物が背負った過去や未来に描くビジョンが、その人物の奥深さに驚異的なまでにリンクしている。これが本作の功罪になっていると思う。
SHOICHIにしろ、EIJIにしろ、彼らしか知らない過去を背負っている。RIHOも途方も無い夢を見ているし、KAEDEだって物凄い夢を持っている。それに対し、RIMUとYAYOIのビジョンや軌跡は、他のメンバーと比べるまでもなくスケールが小さくはないか。未来のビジョンが不明瞭だし、―ライターが描いてない部分もあるかもしれないが―その描写が薄いし、何より不恰好なまでに現実味があるのが問題だ。
それを悪いとは言わない―むしろ、
一般的には立派だと思う―が、現実味に乏しければ乏しいほど、この作品においては魅力的な人物に映るのである。この埋めようの無い志の差異が、それぞれのルートの温度差となって表れてしまった。
コアとなる律穂ルートは、律穂だけのルートとして考えるべきではない。いっそのこと、“DEARDROPSルート”と言ったほうが妥当だろう。それもそのはず、このシナリオにはDEARDROPSそのものが詰まっているからだ。私からは、物語の根底に「共鳴」という命題が垣間見え、次第に一体感を得ていくメンバーに、なんとも言えぬ高揚感が込み上げたものである。
律穂の動きを追うと、最初は理想ばかりを振りかざす粗野な女性と映るかもしれない。彼女の理想論は聞こえばかりよくて、我々にとって耳に痛い部分も多くある。本気になれないってのは、ある種の人間にとっては、きっと恥ずべきことなんだろう。だがしかし、彼女は口先だけで理想を語るのではなく、是が非でも実現させるために、たゆまぬ努力を続ける。だからこそ、彼女は全編通して魅力を失わないし、弾丸のような真っ直ぐすぎる生き方に共感を覚えるプレイヤーも多いと見る。
バラバラだったメンバーの距離感が次第に縮まり、ライブは成功を収めたというのに、フィナーレは予想以上にあっさりしていて、ともすると拍子抜けするかもしれない。しかし、引き際が実に彼ららしくて、不思議と気持ちいい読後感を得られた。続きが気になる。
そう言えば、英嗣の過去が明らかにされるのはこのルートしかない。三十路男の過去をきっちりと描くのは、エロゲーでは極めて珍しいことと言えるが、DEARDROPSルートのピースになくてはならない描写と言える。野性味があって嫌味ったらしいキャラクターではあるのだが、それでいて誰よりも人間臭くて憎めない。
本作で一番好きなキャラクターは誰かと問われれば、私は
EIJIと答えるだろう。
かなでは少し特殊な立場にある。とは言え、彼女のルートは、物語上のもう一つのコアだ。理想を突き進んだ律穂シナリオと比べ、現実の厳しさまで詰め込んだお話となっている。けれど、そこには確かに音楽を楽しむ人々の姿が描かれている。もちろん中心にいるのはかえでだが、彼女が「人前では歌えなかった」立場だから、“音楽はこうでないと”ということを身を持って教えてくれている気がする。
りむと弥生ルートはとってつけた感がありあり。蛇足の感すら漂わせている。申し訳ないが、レビューで語るほどのことではないだろう。この2人のストーリーに関しては、DEARDROPSとは一線を画すシナリオという印象を受ける。つまりはサイドストーリーでしかない。DEARDROPSの物語として語られない「もしもの物語」であり、IFでよかったと安堵できる内容である。
物凄い温度差のある構成に違和感を禁じえない。りむと弥生が見ていたビジョンは、残りのメンバーのそれとは提灯に釣鐘だ。バンドと絡めて描こうとしても描けなかったというのは私の邪推かもしれないが、それを考慮しないとしても、この温度差は不公平に過ぎる。弥生に自身を投影して共感することもできようが、りむを評価するのはかなり厳しい。
主題歌、挿入歌に関しては、流石に頭いくつか抜けている。「希望の旋律」は珠玉の出来だと思う。欲を言えば、それぞれのテーマ曲として、ソロパートをふんだんに取り入れてほしかった。劇中でも、そういった描写は事のほか少ないので、盛り上がりに欠ける節がある。新曲お披露目の描写も然りである。
「MUSIC LIBRARY」の使用頻度は低そうだが、「High Tension」はお気に入り。
読める作品、聴ける作品には仕上がってはいるけれど、どうも爆発力が足りなくて
不完全燃焼の感が拭えない。クライマックスらしい盛り上がりに欠けると思う。リアリティを追求するのは、DEARDROPSに限らず、この手の物語ではお門違いなのだろう。「ファッキンが、おファッキンになってしまった、ファッキン!!」という捻くれた結論を抱いたのであった。まあ、原因は温度差にあるんだけど。惜しいね。
【雑談】
律穂を見て、 『Handle with Care..』(古くて申し訳ないです)の佐原詩音を思い出しました。
真っ直ぐな子がボーカルには相応しいんでしょうか。
イヤフォン推奨ゲームです。曲は本当に聴き応えがあります。
ちょっと音が小さいので、そこは調整したほうがいいかもしれません。
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