夏の暑い日にはカゲキな作品を!!
「Rewrite」のレビューを書いてて熱が出たので、普段あまりプレイしない凌辱色の強い作品をプレイしてみました。
評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ△
グラフィック★
エッチ ☆から×まで。私は◎。
サウンド△ ボイス★
ゲームシステム○
可愛い絵柄にミスマッチな「いぎぃぃぃぃぃ」、「ぎゃぁぁぁぁぁ」といった声優の名艶技が光る凌辱作。KAIさんの特長である“萌え凌辱”の危ういバランスが魅力的だ。ブランド色を鮮明にした嚆矢とでも言うべき一作だろう。
KAIさんの強みは、私の偏狭的な理解では、おおよそ2つあると思います。
まず、〆鯖コハダさんが描く“可愛さ溢れる画風”。有り体に言えば
“萌え”ですね。
それと、サディズム嗜好をくすぐるエロシーン+物凄いキンキン声をあげるキャラクターたち。有り体に言えば
“リョナ”ですね。
これら2つが混ざり合って、やや灰汁の強い独特な作風を形成しているのではないでしょうか。
ブランドの処女作『ヴァルプルギス』でも、その灰汁の強さは随所に見られました。ハイクオリティな萌え絵を逆のベクトルに注ぎ込んだ結果、異端児ぶりを際立たせていたのです。リョナの要素もかなり強かったため、その道の好事家にとっては、ある種のバイブル足りえたように思います。
一見すると、反目しがちな
萌えとリョナ。定義に関しては、駄文を連ねるのが憚られるため割愛しますが、KAIさんはなかなか巧く和えていたように思います。
今作においても、これらの要素は色濃く引き継がれており、たしかなお家芸として、その作風を確固なものとしつつあります。
ハードなエロはこの作品の見せ場であると同時に、主題を成すコアを形成しているように見て取れます。Black Cycと言えばピンとくる和泉万夜さんが関わっているだけあって、和姦を除くエロシーンは、ことごとく鬼畜色で彩られていました。
しかし、プレイ中には作業性を感じずにはいられません。徐々に浮き彫りになっていく一本調子の展開には、ストーリー上における起伏の乏しさがありありと見て取れます。端的に申し上げて、エロシーンの挿入が単調すぎるのです。ひとつひとつのシーンの出来映えには概ね満足しています。モノによっては、尺が短いのが少し気になりましたが。
エロシーンでは、凌辱の描写の濃さによってノーマルとハードの二種類が用意されています。ただし、この機能は全てのエロシーンに搭載されているわけではありません。むしろ、一種類しかないエロシーンの方が圧倒的に多いんです。玉に瑕ですね。
まあ、ノーマルとハードの違いを具体的に言うと、
【触手】
ノーマル=比較的ヒロインに優しい(?)仕様。しっぽり。
ハード=極太。えげつない。容赦ない。おなかをぶっこわす勢いでガンガンガン。ひどい有様。
【凌辱関係のボイス】
ノーマル=ハードと比べると、表現が抑えられてます。凌辱なんで、それでもハードと感じる方もいそうです。
ハード=「ごおぉぉぉぉぉッ!!!」「ぎゃあああああ(中略)ッッッ!!!」
………書いてて
ゲシュタルト崩壊を起こしそうになりました。お察しください。
【エロシーンに関して】
ノーマル=基本的に挿入れて出して終わりのような…。
ハード=腹パンとか首絞めとか。リョナですが、四肢切断は無い。
あとは尺の長さに関わってきますね。ハードのほうが、テキスト量とボイス量の関係上長めに設定されています。
繰り返しますが、これは“ノーマルかハードを選択できるモノ”に関しての違いです。上記の“ハードかノーマルかを選択できないシーン”においても、濃い描写がなされることはままあります。なので、描写は基本的にハード寄りだと考えていただいて結構です。人によっては、あまりにハードすぎてついていけない人もいらっしゃるかもしれませんね。
余程のことがない限り、ラフな凌辱を好むプレイヤーさんや過激な描写が苦手なプレイヤーさんは、最初はノーマルを選択した方がいいでしょう。
さて、エッチ要素のある回想は43を数えますが、和姦はたったの3つだけ。総数の一割にも満ちません。桐枝にいたっては、凌辱あるのみという徹底ぶりです。
異種姦、触手姦ものなので、ハードなのは推して知るべき作品ですが、萌え目当てでのプレイは避けるべきと言えます。
“おなかぼこん、おなかぽっこり”は当たり前。人を呪わなくても穴という穴にハメハメされちゃう様は、ショクシュリスト(ショクシュリアン?)やその筋の方々以外でも凌辱っぷりを味わえることでしょう。
が、そこまでのタイトさを誇っていながら、なぜか膣断面図が実装されていなかったり、精液の描写が微妙に薄いCGがあったりと、完璧とは言いがたい点もちらほら見受けられます。ちょっと不思議でしたね。
声優陣の熱演も際立ちました。
特筆すべきは青井美海さん。ギャップ萌えと言えばいいやら、ギャップ引きと言えばいいやら……とにかくその力量に度肝を抜かれそうになりました。ダメージボイスの奇声が耳にこびりついて、なかなか取れてくれません。
シナリオはハードなエロの引き立て役。燃え成分をふわりと上乗せした正義のストーリーです。
話として成り立っているとは言え、さほど深みを感じられないのは詮無いところか。いずれにせよ不満の残る内容ではありましたが、エロシーンに注力していると思えば割り切れました。参考までに、それくらいのものと考えてください。
しかし、エッチシーンとエッチシーンの間隔には明らかに難があります。物語の後半に行けば行くほど、その間隔は短くなり、シーンが矢継ぎ早に繰り出されてきます。先に述べた単調とはこのことを指しています。
もし実用化するとしたら、一度クリアしてから気に入ったシーンを抽出するのが賢明でしょうねー。
最初に記した通り、絵柄はかなり可愛い部類に入るんですが、残念ながら一つだけ。
立ち絵が小さすぎるのが致命的……いや、小さすぎるという表現では少々誤解を招きそうです。骨格の問題かもしれないんですが、私のような素人目からは、なんか得も言えぬ気持ち悪さを感じてしまったんですよ。どうやら距離感を表そうとしているようなんですが、いや、なにもそんなに遠ざけなくてもいいのにと思える立ち絵が多かった。
一例を出しましょう。
「差し出されてた手を握って立ち上がる。
顔を上げると、そこには長身の男性が立っていた」(本編より)
という表現を用いているにしては、ちんまい優男がちょっと離れて突っ立っている印象を受けざるを得ない展開がありました。これはいくらなんでも迂闊すぎます。諸々のエロゲーの立ち絵からすると、すごく不自然でした。
音楽やOPの評価……に移るつもりでしたが、よくよく考えると、そこに薀蓄を垂れる作品ではないですね。割愛します。なお、セーブ機能やバックログといったシステムの使い勝手は悪くありません。
今一歩の感が拭えない作品ですが、殻を破れば化けそうな予感もします。ことさらにリョナ要素を強めるのではなくて、百合とか膣断面とか、ディテールやシチュエーションでもって、作品のクオリティーを高めることは可能だと思えたので。お話を読んでて、エロを重ねるたびに単調さを感じてしまった面が強かったです。
こんなに可愛い絵柄ですから、よしんば純愛オンリー路線に行ったとしても、それはそれで期待してしまいそうです。今以上に純愛要素を追加したらしたで、門戸はかなり広くなりそうですね。それとは逆に、いっそのこと純愛を全て廃して、女の子たちだけの物語を紡ぐのも一興かと。
ただし、私がこの作品をプレイして感じたブランドコンセプトからは、純愛という要素自体が脇に外れている気がしないでもありません。なかなか難しいところではあります。
いずれにせよ、リョナニストさんにはうってつけの作品ではないでしょうか。ブランドが目指す道筋が見えるものの、まだまだのびしろのある作品のように思われます。次回も注目していきたいところです。
【雑記】
◆百合は個人的な要望です。あってもいいなあ、と思っただけで。
◆桜火役の金松由花さんに違和感あり。配役を見誤っている気がしました。
桜火の凛々しさが減じ、どことなく暗さを感じてしまいました。
◆主人公視点で描かれる物語にしては、詰めが甘いような気がします。
怪物の“ヴィラン”という名称が初出してから、主人公視点で「ヴィラン達」とか冷静に用いてますし。
こういったところに、微細な違和感があるんです。
◆最後に。すみません~。リョナの定義を履き違えてるかもしれません。
ほかに、巧い表現が思いつきませんでした。お許しください。
こんな按配です。
ええと、最初に批評空間にレビューをのっけた際に、あろうことか声優さんの名前間違えてました。申し訳ありませんでしたー。
スポンサーサイト