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「めばえ」レビュー

めばえめばえ
(2011/12/16)
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のレビューです。思ったことを思った通りに書いてみました。

 そういえば、ブログ名に「at lunch」というサブタイトルをつけてみました。軽食でも食べながら、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

 では、レビューに移ります。

【パッケージスペック】・ゲームDVD1枚、ドラマCD1枚
・デジタルケースに透明パッケージ(DVDケースより若干大きい。B5サイズ)
・説明書なし
・萌えゲーアワード投票用紙
・開封済みは判る仕掛け(開ける時に緑のテープを剥がす必要あり)


評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ○
グラフィック★
エッチ☆
サウンド○
ボイス★
ゲームシステム△ 音楽視聴が使いづらい 


一言:清き流れに 魚住まず もとのにごりの たぬき恋しき

 “たぬき親父そふと”から、“そふとはうす たぬき組”への変わり身。大いに化けた作品である。
 これまで野々原氏が原画を手がけた作品と比べると、思いのほか丸い作品だと感じた。背徳感やインモラルといったアブノーマルな感情が減じ、より敷居が低くなった。


 これも、ひとえに主人公の欲望が純粋になったおかげだろう。これまでのたぬきそふとの主人公というのは、学園の特別講師だったり、家庭教師だったりと、その立場はヒロインよりも必ず上だった。たぬき親父よろしく、邪なオーラをぷんぷん漂わせていたのである(「娘姉妹」の父親という立場は、もはや異常の域)

 ところが、今回の主人公佐倉柚樹は、杏奈とは実の姉弟、莉子とはクラスメイトという平易な人間関係にある。立場が対等、または格下なのである。近親相姦という背徳感は付きまとうものの、女を上から強権的に支配しているという優越感はあまり得られない。そのため、青さ溢れる主人公とヒロインの、性に対するそわそわとした好奇心がそのまま浮き彫りとなっている。



 話は変わるが、昔とある番組の企画で、信号や渋滞などで停車せずにどこまで車で進むことができるか、という企画があった。前の車にぶつかるのは論外として、一時停止した時点でゲームは終了。最も長い距離を走行した車が優勝という、なんともはた迷惑な企画が存在したのである。

 このゲームは、その状況とよく似ている。“エロの波”が全編を通してゼロになることがないのだ。運転手が完全にブレーキを引きたがらない心理と同じように、主人公はエロ以外のことにあまり執着したがらない。
 エロそのものはもちろん、エロの結果も、エロに至る過程も重視したぶん、余計な描写(日常、下手なシリアスなど)はカットされ、エロく感じられる時間が飛躍的に増加した。これがテキストにも強く表れており、我々としては、決してエロ描写ではないシーンにおいても、どうにもやきもきせざるを得なくなってしまう。
 スローセックスならぬスローオナニー(?)愛好家には、この上なく有用と言えるだろう。



【杏奈】
 シーン数32。実姉。その危うい距離感が少しずつ縮まっていく様相が、実にそそられる。ある程度の背徳感を残しつつも、心を通わせていくさまは、愛のめばえと言うべきか。
 基本的に姉弟は前向きな思考の持ち主なので、それほど近親相姦のタブー臭がしない。故意に、そう見えないように描いている。これを残念と見るべきか、門戸が広いと見るべきかは、プレイヤーによって異なってくる。


【莉子】
 シーン数30。セフレ感覚から恋人感覚という、一連の変化が面映い。杏奈を愛とするなら、莉子は恋のめばえと言うべきか。

「それに、柚樹君とはほかの男の人とちょっと違う気がするし…」(本編より)

恋に気づきはじめた莉子の戸惑う描写が、実に見応えがあった。
 寝取り寝取られの要素を入れてしまえば、杏奈ルートとのバランスがとれずに、気持ちの面で齟齬が出る。黒髪ビッチの非処女設定というのは、ギャップ萌えを狙ったと察する。


【ハーレム】
 シーン数8。おまけ程度のもの。3Pなのに、インモラルな感じがしない。
 孕ませが好きな人には、この内容は圧倒的に物足りない。個別ルートはその数自体を減らしているし、ハーレムルートでは、その描写すら消え失せている。


 インモラルという成分がすぅーっと抜けた(意図的にそう見えないようにした)だけであって、エロいことには変わりがない。
 これまでの作品の水に慣れた魚にとって、この「めばえ」という作品はあまりにも純すぎる。いつぞやのアクの強い作品とはうってかわって、濁りや澱みといったものが、この作品からは感じ取れなかった。


 視覚的にロリータであるという事実は、さして重要なファクターではない。むしろそれを字面で強調していないため、その類の性癖がないプレイヤーでもある程度愉しめる配慮がなされているように思われる。最終的に、各シナリオは愛や恋に行きつき、決して歪んだりしない。
 子供なりの性や禁忌に、おそるおそる手を伸ばす所作に、エロゲーマーなりの一喜一憂を愉しもう。

 たぬきそふとにしては、おそろしく無難な、それでも他のブランドの水に住む魚からすれば、ぶったまげるような濃いエロを堪能することができる作品だ。



【雑記】
◆観賞モードのチビキャラは、CG回収率が上がるほど服を脱いでいくんですが、この機能の意図が掴めませんでした。
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エロゲレビュアー歴10年目。ゲームは基本的に雑食。まわりの評判と自分の直感でプレイするものを決めるタイプ。クロシェットの大ファン。仕事が多忙につき、更新頻度が大幅に落ちています。
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