をレビューさせていただきます。
【パッケージスペック】
・A4サイズキャラメル箱
・ディスク2枚組(ゲームディスク・音楽CD)
・説明書
評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ★ いちゃラブゲー上位であることは確か
グラフィック○ 気になります。乱れがあります
エッチ○ グラフィックに引っ張られてます。弱い、です
サウンド◎
ボイス△ 声優さんの変更が響きました
ゲームシステム◎
実に人を食った、シニカルなタイトルだと思う。目の色が変わったのは、何もプレイヤーだけとは限らない。
千夏は、
花穂は、
俺の つぐみは、
そんな死んだ眼をしていない! さつきは、
奈々子は、
一部からは、そんな怨嗟の叫びが聞こえてきそうなゲームである。
「いちゃラブなエロゲーと言えば?」と秋葉原のエロゲーマー諸兄100人に聞いて、おそらく、そのうちの何人かが口にするであろう「ラブラブル」。その後日談を描く。
同棲という大義名分の下に、イチャイチャしまくるバカップルたちの性活、もとい生活を、ただひたすらに追いつづけるストーリー。萌えるというより甘い。なんら加工していないドキュメンタリーを見るような感覚を覚える。
そのため、恣意的な見せ場や盛り上がる場面は殆どと言って存在せず、仲睦まじい二人が、結婚への階段を足並み揃えて登っていく前途洋洋たる様が、他愛のない会話や言葉の掛け合い、日々の暮らしと周囲の暖かい視線などから、容易に見て取れるはず。
いちゃラブを大いに謳っているだけあって、その自信の程は、単なる張子の虎ではない。僕には、奈々子さんがしっくりきた(醸し出される雰囲気とシナリオが好み)ものだが、5人のヒロインの中で、本編でも、いちゃラブに定評のあった花穂はやはり別格。彼女と同棲したストーリーの糖度の高さは、そんじょそこらの萌えゲーを一蹴するほど甘ったるい。
二次元におけるいちゃラブの真髄を知り尽くした人が作った、まさにいちゃラブ中のいちゃラブ。各シナリオは、公式ホームページのコンセプト通り。看板に偽りはない。
CGには見逃せない粗があるし、さつき役の声優さんが変更となったのは残念だったけれど、総合的な完成度の高さには舌を巻いた。
さて、この作品で波紋を呼びそうなのは、予想だにしなかった濡れ場の展開である。純愛の範疇にありながら、SMEEは自ら小骨を作った。鵜呑みにできないのである。
いずれのシーンでも、ヒロインが眼から光を失うのは、はて、いかがなものだろうか。
いわゆる、“レイプ眼”というヤツである。この表現を苦手とするユーザーもいるだろう。ましてや、純愛ゲー界隈では、なかなかお目にかかれない表現であるからなおさらだ。かくいう僕は耐性があるのだが、それでも、この表現の多用には疑問を覚えたほど。
いちゃラブとレイプ目は、サンゴとクマノミの関係にはなれない。視覚的にはアリでも、感覚的に共存できないと僕は思う。レイプ目が、いちゃラブの一つのキーワードとなりうる“純愛”や、“幸せ”の象徴として、機能しないとみるからだ。
この表情を注視していると、寝取りや陵辱といった、どこかダークな展開に見えてしまうことはないだろうか。彼らの同棲模様を見て、エッチの部分だけは、“寝取り”に近い感情が胸中を渦巻いてしまった。
それは、“プレイヤー(多くは男)から見たヒロインの幸せ”をどこかに吹き飛ばしてしまい、純愛ゲーにもかかわらず、征服欲が満たされるという、不思議な感覚を味わうに至った。ジョークとは分かっていても、感覚がそれを受けつけなかったわけだ。
誰が言ったか、“凌辱ラブラブル”とは、これいかに。聞けば聞くほどおかしな響きである。その意味では、実にシニカルなゲーム。萌えゲーマーを皮肉っているとすら思う。
思い返してもみてほしい。この作品をプレイし終わった後しばらくして、記憶の引き出しから、思い出として取り出されるものは何か。
あの眼ではないか。楽しい思い出とともに、あの眼が取り出されてしまうだろう。いちゃラブと銘打っているからこそ、レイプ眼は記憶の箱から取り出したくない。それを許さないあたり、実にSMEEは素直ではない。
作中にて、最も不自然で、最も作為的で、最も疑義を挟みたい部分は、まさにその一点に集約される。
♪描いてた夢があるの (オープニング)
否、僕にとっては悪夢である。
[雑記]
髪形を変えられるのだから、
レイプ眼の有無も、カスタマイズできればよかった。
そう思わずにはいられない。
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