のレビューになります。6月の新作筆頭株でした。
評価(☆→★→◎→○→△→×)シナリオ◎
グラフィック☆
エッチ☆
サウンド◎
ボイス★
ゲームシステム◎
「シナリオ+エロ」じゃない。「シナリオ×エロ」なんだ。
この作品の辞書には、“シナリオ+エロ”という図式は存在しない。“シナリオ×エロ”という図式で構成されている。つまり、エロはストーリーの付加価値ではないということだ。
とにかく、エロシーンの総合的な満足度が高かった。何よりも原画を担当したピロ水さんの技量が凄まじい。50シーンも描いているがゆえに、アクロバティックな体位も相当数あるのだが、素人目には画風が崩れているとは思えない。エロく描ける原画家さんとの認識が定着しそうだ。また、個人的なところで恐縮だが、液体の表現が極めて好感触であった。
それらを引き立たせる艶のあるテキストも具合がいい。50ものシーンを用意しているのだから、エロに至るまでの流れはどうしても一本調子になりがちだ。これは玉に瑕の部類であるが、回想としての実用性を念頭に置けばどうということはない。単調になりがちな諸々のエロシーンは、回想モードによってハイクオリティなものへと生まれ変わることができる。無論、作中におけるエロシーンとしても実用性はあるだろう。
これは、この作品の最もいいところだと思う。エロシーンが物語という繭から脱皮した途端に、50シーンの実用性は否応なく高められるのである。プレイヤーがどっぷりと浸かってしまえば、持続性の高い一作であることは疑いない。
ただ、抜きのテリトリーに力を入れすぎて、話が形骸化するのは本末転倒。そのバランスに配慮したせいか、シナリオには一定の価値を残してあり、エロシーンへの繋ぎとしての役割を果たすと同時に、それなりに読める話となっている(もちろん物語文学などと比べるつもりはないが)
作中に、コンスタントにエッチシーンを挟み込んで飽きさせないのは、この作品の一つの特長と言える。シリアスにしろ、日常にしろ、いちゃラブにしろ、最終的にたどり着くのは大概がエロシーン。そこからまた、諸々の会話が構成され、エロシーンにいたるという一定のサイクルがあるように思われる。
ストーリー自体はさほど真新しいものとは思えない。サキュバスに関する設定も、なんだかんだ言って細部にまでは凝っておらず、ライターもそこらへんにはあまり頓着していない様子。シンプルな構図として、「サキュバスだから、エロいのは当たり前」というある種の免罪符を逆手に取り、「ウブなサキュバスたちとラブラブになったらどうなるか」というコンセプトを最大限に生かそうとする試みが垣間見える。個別のラブラブっぷりもさることながら、共通ルートから絶え間なく流れるエロシーンが、個別ルートになっても続くのは嬉しいところだ。
ゆえにこのゲームのエロシーンは、シナリオと半ば一体化していると見ることができるだろう。これは先の「プリマ☆ステラ」でも似たような現象が見られたが、ことこの作品の良さはシーン数が50と物量豊富な点にある。もちろん他の作品のエロを貶めるつもりは毛頭ないのだが、胃の腑にすうっと落ちるような、そんな自然な流れでエロシーンをコンスタントに挟める作品は貴重だと思う。
エロにかなりのボリュームを割きつつも、形ばかりのストーリーと化してしまわぬよう、絶妙な匙加減で、エロとの融合を果たしている稀有な例。『プリマ☆ステラ』の再来と目しても、決して遜色ない作品である。
【雑記】
寝取られは、サキュバスのステータスだと思います。
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