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「門を守るお仕事」レビュー

門を守るお仕事門を守るお仕事
(2012/09/28)
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をレビューさせていただきます。久しぶりにキャラのゲームを買ったような気がします。
とは言え、正直なところ期待はずれですね。

これ買うなら、同人ゲームの「魔物っ娘ディフェンス」(とま団)をやりましょう。
知名度はありませんが面白いですよ。ちなみにツクール系で、ネット環境が必要なので注意。参考までに。

評価(☆→★→◎→○→△→×)
シナリオ・テキスト△
グラフィック△ 
エロ△
サウンド△ 
ヴォイス○ 
ゲームシステム△


「滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。」



 これは新約聖書マタイ伝に出てくるイエス・キリストの言葉である。
 僕は、「門を守るお仕事」というシンプルなタイトルから、兵隊を駆使しつつヒロインたちとの仲を深めていくゲームを連想した。割かしとっつきやすそうな作品で、実際1周目は、それなりに思考回路を駆使してプレイできる内容ではあった。しかし、2周目に入ろうという気はさらさら起きない。それほどまでにコンプ欲を掻き立てられない理由として、あまりに物語がこじんまりとしており、ヒロインのイベントまわりが脆弱すぎると言う点が大いなるネックなのだと思う。
 ソフトハウスキャラのよろしくないところは、いつだってヒロインという存在を蔑ろにしていることなのだが、今回もその例に漏れず、プレイヤーとヒロインの間にあるであろう“赤い糸”を台無しにしてしまっていた。メイベルはまだしも、他がサブヒロインに見えてもまったく不思議ではない。それもそのはず、シナリオの流れが「門を守ること」の一点を軸として語られる以上、ヒロインのエピソードはわき道のような扱いを受けざるを得ないのだが、今回は「巣作りドラゴン」以上にヒロインが増えてしまったせいか、個々のエピソードにまるで厚みが感じられないのだ。システムにしても、「巣作りドラゴン」を彷彿とさせる変則的なタワーディフェンス系と言えば聞こえはいいものの、その出来はコンシューマとは比べるまでもなく貧弱と言っていいだろう。


・ヒロインが指揮しているはずの部隊を指示できず、
・エロ周りも非常に投げやりで毎回のように薄く、
・ビジュアル面、音楽面でさほど優れているわけでもない


とまあ、色々な欠点を抱えているこの作品が生き残っていくには、シナリオかゲームバランスが突出している必要性があるのだが、いずれにしても魅力的とは言いがたいのである。


 最初に書いたとおり、シナリオは「門を守る」使命を軸として語られ、1周60ターンの大部分をその説明に費やす。その周辺地域の情勢や傭兵のエピソードについては、まるで情報が足りておらず、結果として物語がこじんまりとしてしまった。また、ヒロインは小話のみに登場し、肝心のタワーディフェンスには全く登場しないというのだから、エロゲーと聞いて呆れる。これはもう、明らかにキャラが学習してない悪習の一つである。

 この手のゲームは、そのシステムの特性がゆえに地味になりがちだが、ある程度自由度を持たせたシステムを構築できていれば、ユーザーのストレスはたちまちのうちに霧散すると思う。しかし、このゲームは結構その辺の運営がシビアな上、休暇を入れれば入れるほどユーザーの勝利は遠くなるという、ある種の二律背反的な要素がエロとシナリオとゲーム性のバランスを崩してしまったのである。つまりエロから遠ざかれば遠ざかるほど勝利を手繰り寄せやすく、エロに近づけば近づくほど難易度が上がったように錯覚するのだ。究極的には、ヒロインとの小話を棚上げしてしまえばクリアは容易なのだが、それはエロゲーとしてはの存在価値を揺るがしかねない問題だ。エロゲーであるが以上、エロとシステムの難易度は比例させたほうが建設的だと思うが、いかがなものだろうか。
 このように、エロゲーであることに疑問を覚える構成には、疑問を投げかけざるを得ない。


 システムに関しても往時の影はどこにもない。1マップというのは流石に寂しすぎるし、兵種やターン数が限られているのは大いなるネック。プレイヤーとして「やりたいこと」よりも「やらなければならないこと」の比重が強すぎて、結局自由度だけが穴の開いたバケツのように駄々漏れになっていく喪失感を味わった。そのため如何様にも愉しめる出来とは言いがたく、1周目が終わった時点でやる気も空っぽになってしまうのである。それでいて、シナリオの全貌は「門を守りました、めでたしめでたし」というあまりにも真っ当な結末を迎えるのだから、これではヒロインを攻略する意志が枯渇してしまうというのも頷ける。
 ゆえに、ウィザクラや巣作りで味わった爽快感はまるで感じられなかったし、2周目を楽しもうとする気力も湧いてこなかった。1周目だけを楽しむSLGならば、同人でも一般でも、もっと優れたものが他にある。一見すると楽しそうに見えるタワーディフェンス系のシステムではあるが、プレイすればするほどシステムとしての作りこみの浅さが浮かび上がってくる。2周目を前提としているシナリオ構成にあって、システムが1周目で錆付いていては、脱落したプレイヤーがどういう評価を与えそうなものか。製作側は容易に想像できると思うのだが。


 かと言って、シナリオが優れているわけでもないのもまた事実だ。これまでの経緯として、ソフトハウスキャラの「シナリオがいい」という声は、当たり前の話ではあるが、「システムがいい」という評価の前に霧消してきた。それもそのはず、これまでのキャラのヒット作にあって、大概のシナリオはシステムにおんぶにだっこ状態だったわけで、特段に読めるシナリオがあったわけでも、ヌケるエロシーンが存在していたわけでもない。
 それを鑑みた上で一つ物申すとすれば、ライターは小噺を軸とした起承転結ありきの作風には、いい加減ピリオドを打つべきと警告したいほどだ。ライターがのらりくらりと12年続けているのは微笑ましいが、いくらなんでもこの作風は限界と思えるが、いかがなものだろうか。


 シナリオは周回プレイをリクエストしておきながら、システムがそれに応えられない。が、当のシナリオがそれほど読めるものではないとなると、おのずと評価は定まってくるだろう。 


 さて、狭い門から入れと太古の戒めにもあるように、必ずしもプレイしやすそうな作品が後々まで面白いとは限らない。1周目よりも2周目が、2周目よりも3周目が楽しめない作品であることは間違いなく、どんどん面白味が先細っていく印象を受けた。奇しくも、箴言通りの作品と言えるだろう。



【雑記】
 1ターンに部隊を1つしか動かせない仕様はバグの域。
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エロゲレビュアー歴10年目。ゲームは基本的に雑食。まわりの評判と自分の直感でプレイするものを決めるタイプ。クロシェットの大ファン。仕事が多忙につき、更新頻度が大幅に落ちています。
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