のレビューです。HOOKらしい作品なのですが、そもそも「Strawberry Nauts」の評価が微妙な人がプレイすべきではなかったかもしれません。それよりも、さらに微妙な評価になってしまいました。
評価(☆→★→◎→○→△→×)シナリオ・テキスト○
あまりに平易すぎて、人によっては欠伸が出るかもしれません
グラフィック○
若干サブキャラに崩れが見られます
エロ○
HOOKにしては頑張っていました
サウンド○
そこそこです。強みはないですが安定しています
ヴォイス◎
声はいいんですが、エロシーンの時に背景音としてヒロインの喘ぎが入ります。これが不要でした。
ゲームシステム◎
使いやすいほうでしょう
キャラゲーであるにも関わらず、店舗特典に偏りが出たのが不思議でならない。HOOKらしい抑揚のないキャラゲー。
HOOK作品のレビューを書こうとすると、いつも似たような感想になってしまうのだが、今回もお家芸となって久しい波風立たないシナリオは健在だった。主人公はいたって没個性的な青年だし、大半のヒロインは主人公にべったりだし、シナリオは紐解く必要がないほど平易で読みやすい。イチャラブゲーとしての存在感は、「Strawberry Nauts」の次点に甘んじる作品だと思う。
僕は「絶対シナリオ至上主義」といった強硬派ではないので、シナリオの盛り上がらなさに口を挟むつもりは毛頭ない。ただ単に、件の婆様からはじまったこの路線が結構な年月を経たにも関わらず、いまだHOOKが殻を破れないことに痺れを切らしそうなだけである。HOOKの漣さえ立たない湖面のようなシナリオを長年見続けていると、そこに石を投げ入れたくなってしまう心理が働くのだ。
この作品はラブリースマイル活動が作品の要となっているが、屋台骨を担うにはかなり頼りない印象だった。純か不純かという問題は、ヒロインと結ばれることがハナから分かっている以上、さほど軸として機能せず、擬似的なシチュエーションプレイとしての意味合いが強くなってしまった気がする。キャラクター性重視のプレイヤーにはたまらないイチャイチャもあるが、意識しないキャラクターのラブスマは、さほど琴線に触れないのが難点だ。
女の子サイドの気持ちを覗けるガーリートーキングに関しては、ちょっとしたスパイス程度のもの。キャラクターの内なる想いを覗けるので、人によってはグッときてしまうことだろう。
シナリオが平易なために、ライターの足並みが一様に揃いやすかったようで、シナリオの出来不出来に関してはまずまずの統一感がある。ライターのネームバリューから分かるように、キャラゲーとして成り立つレベルの作品に仕上げる実力は、それぞれがお持ちとお見受けする。エロシーンもこのメーカーとしては上々か。キャラゲーとしての優秀な側面は持っているように思う。
しかし、メーカーが謳っているような、「真の純愛」ゲーとしての地位を確保できる作品とは言いがたい。純愛こそがHOOKの真骨頂と声高らかに喧伝するのは大いに結構だが、小手先のシステムで幻惑しようにも、毎度のことながらストーリーの構成があまりにクラシカルすぎるのは積年の課題だ。これは「_summer」の頃からのアキレス腱で、冒頭から好感度MAX状態の子が多いがゆえに、イベント一つ一つを手に取ってみても、まるで重みが感じられない。今回はラブスマそのものも、純愛と非純愛の差別化を試みる上での都合の良いディテールと化している感すらある。
また、純な意味で結ばれることを純愛と呼ぶのかは定かではないが、HOOKはこの点に対して納得できる答えを作中で用意できなかったように思えてならない。その最たるものが、近親相姦ごとをあっけなくスルーしてしまう点だ。主人公と水穂はもとより、事態を把握した羽美の反応もなんだか異様に思え、どうしても説得力に欠けてしまった。これだけは、「愛があれば大丈夫」で済む話ではないだろう。それを無視してしまった以上、純愛モノとしての意図には少なからず疑問符がつく。
よもや、「波風立たない恋愛劇こそが純愛」とはライターも思ってないだろうが、HOOKが目指す純愛ゲーのベクトルは、純愛ゲーの探求というよりもキャラゲーの量産のほうに傾きつつある気がしてならない。そこは危惧すべきだろう。
もっとも優秀なキャラゲーと太鼓判を押そうにも一つだけ疑問があって、なにゆえ描き下ろし特典が水穂ばかりに固まってしまったのか。これがどうにも解せない。羽美、いろは、綾花はまだ救いがあるものの、アイノに至っては、描き下ろし特典そのものが存在しない。こればかりは流通各所のみぞ知る大人の事情なのかもしれないが、調和の取れたシナリオを鑑みるに、ここまで不均衡になってしまう要素は、実妹というある種の符号が強く働いたのではないかと勘繰ってしまう。
キャラゲーという敷居で見るならば十分だが、純愛ゲーとして強調できるほど洗練されてはいない。HOOKが答えを出すには、まだまだ時間がかかりそうだ。
【雑記】
“お”兄さんと呼ばれるのは流石に違和感があった。
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