数年ぶりに、3日連続で更新しました。今日は一般ゲームから一つ。珍しいテイストのゲームだったので買ったのはいいんですが、なかなか厳しい評価になってしまいました。
50点。墨と硯を用いて敵と戦う世にも珍しい和風テイストなゲーム。Vitaの特性を早い時期に理解しながらも、企画倒れの感をありありと見せ付けた挑戦作。意欲だけは認めたい。
タッチした痕が墨の道になる。背面タッチパッドを擦ると、墨が磨れる。こんなゲームは後にも先にも聞いたことがない。アイデアだけはVitaのいいとこ取りをしたように思える。
思えば小学生の頃、習字の授業の際に墨を磨っていた覚えがある。墨を磨る作業というのは子供には物凄い重労働で、擦っても擦ってもなかなか墨が濃くならないと嘆いていたものだ。まさかその十数年の後に、往時の苦行を思い出させるようなゲームが出るとは、青二才だった自分は全く想像もしていなかった。
もうお分かりだろう。このゲームは、背面パッドで墨を擬似的に磨らせる。これがスイスイ磨れるのならまだいいが、
実際の墨磨りと遜色ないほど磨れないわけだ。あまりの磨れなさに、指が悲鳴を上げてしまったのである。墨を磨る作業とはこんなにも疲れるものだったのか。これを忠実に再現しても、なんらユーザーとしては嬉しくないのである。
また、タッチパネルをなぞって墨を引くのは、基本操作の割になかなかに曲者。意外と自分が思った線が引けないのである。具体的に言うと、
かなりの割合で始点が右側にずれるのだ。これは人間の指の動きによるもので、「習字」や「かきかた」のように字を書くための道具を用いないぶん、機械が読み取る精度が落ちてしまうのである。Vitaにはスタイラスペンは基本的に付属しないし、仮にスタイラスペンを使ったとしても、今度は墨磨りやアクションコマンドを使う際に、ペンが邪魔になってしまうだろう。
ストーリーは非常に地味。怠け者の鬼が平安時代の危機を救うという昔話的な内容で、あまりワクワクしない。まあアクションゲームだからそこはさほど重視しないけれど、
ストーリーがストーリーなら、ゲームの内容もゲーム内容なのか。全体的に地味なつくりで、飽きが来るのが早かった。
ステージの道中はともかく、ボス戦でも
任意の場所に攻撃できる方法があるのはナンセンス。それを使って容易にクリアできてしまうというものだ。自分の場合、遠距離にいて相手の攻撃を水筆(相手の弾を消せる)でいなしつつ、時おり墨を磨って炎&雷(任意の場所に攻撃できる)で攻撃というパターンになってしまった。これでは面白くないのだが、楽チンなので仕方がない。なお、
敵ボスのグラフィックはほとんど差分キャラというお粗末な体たらく。ビッグコアじゃないんだから…。これにはがっかりである。
ちなみに、墨を引いた道の上に主人公が立ち続けると攻撃力が上がるという特性があるが、殆どと言っていいほどボス戦で使うメリットがない。
このように操作性やゲームバランスも問題だが、
一番問題なのはその価格だろう。コンプリートまでに要す時間は、10時間もあればお釣りが来るほどの薄っぺらさ。1ステージが10分もかからないことを考えれば当然の帰結であるが、いくらなんでもこれに新品5千円というのは、リスキーにも程がある。エロゲーで言うところの、「10時間でクリアできるゲームにフルプライス出せるか」という話に近い。追加要素を加味しても、値段が見合っていないように見受けられる。
墨を磨る→タッチパネルを擦るという連想は理に適っているものの、
ユーザビリティが頗る悪いのは問題外。墨を磨らせる作業を課す意味はなかった。墨磨りや召還時の一筆書きなど、余計な操作を詰め込んだばかりに、持ち味だったであろうシンプル快適なアクションまでも台無しにした本作を、企画倒れと言わずして何と言おう。生憎1000円で手に入れたのだが、それでようやく……といった評価をつけたい。さほどオススメはできない。
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